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しおりを挟む私がシンパシー家の義両親と同居をしたのは三年前。
当初は同居する気はなかったが、足腰の弱い義母の事を心配した夫、ロンドが言い出したのだ。
「同居なんて言われても困るわ」
「頼むよ。母さんはもう歳だし…それにまったく動けないわけじゃない。それに里帰りだって今まで通りしていいんだから」
「いきなりすぎるわ」
「けれど、数年後には同居しないといけないんだから。なら早い方がいいし、既に家は二世帯にしているんだ」
「は?」
既に決定事項だと言われてしまい私に拒否権はない。
「それに子供ができた時に母さんがいた方がいいだろ?母さんは子育てに関してはプロだから」
子供二人を一人で育てて、子供を育てながら貴族のお邸で乳母の仕事をしていたということもあり子育てに関してはプロだった。
けれど、私の事情も聞いて欲しかった。
「私は専業主婦じゃないのよ」
「大丈夫だって、母さんだって家事はするし。今まで通りと変わらないんだから」
押し切られるような形で同居となったけれど、当初実家ではいきなりの同居に家族は難色を示していた。
「いきなり同居何て大丈夫なの?」
「二世帯にしているって…お前を家政婦代わりにしているんじゃないだろうな」
いきなりの事で両親は違和感を感じた。
義両親と同居するなんて今ではあまりないのだ。
その理由はトラブルが発生する。
私は貴族のお邸に努めているので上流階級でも同居は色々問題が生じているので同じ邸に住むことは少なくなっている。
「あのお二人も悪い方ではないのだけど、少し心配だわ」
「私が気に入らんのは事後報告だということだ。お前が断らないと思い込んで勝手話を進めるとは何事だ」
「お父さん…」
確かに不満もある。
だけど、足腰が弱くなっている親を心配する気持ちは解る。
それに通いになるのは万一の時に困るし、先ほどの言い方はロンドも協力するつもりなのだろうと思った。
私だって伯爵家の家庭教師として働いている。
当初は父の口添えで侍女として働いていた私は、働きぶりを見込み伯爵家のご息女の家庭教師になって欲しいと言われたのだ。
ティンファニー伯爵家。
未だ妻帯せずに、事故で無くなった姉夫婦のご息女を養女に迎えたが、これまで侍女や家庭教師と相性が悪く困り果てた後に白羽の矢が立ったのが私だ。
行儀見習いの時もティンファニー伯爵家にはお世話になったので断るに断れなくなったのだ。
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