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87女王陛下
しおりを挟む干ばつの調査隊のリーダである女王陛下は国王というよりも貴族令嬢のようだった。
なんというか無邪気さを残す天然という言葉が似あう。
「セクシークイーン」
「リゼ」
「申し訳ありません」
美しく色香もあり、華やかだった。
一言で表現するなら物語で出て来る色気のある女王陛下だ。
武闘派であるミカエラ様と正反対だった。
「私達と毛色が違いすぎると思ってしまうわ」
「リゼ、それは一部だ」
「え?」
真っ青な表情をするレオは震えていた。
「叔母上は見た目こそああだが、我が国の王だ」
「あの方はある意味国王の資質をお持ちです。普段はああですが」
王の資質がなければ国は沈んでいるだろう。
それにこの国は問題点は多いだろうけど、平和だ。
それに女性に優しい国を作るのは本当に難しい。
私が言うのもなんだけど、祖国のあの騒動を把握することができなかった王妃陛下も女性を軽視する者が多いこともある。
「少し型破りだが、母上以上にカリスマ性がある。何より貴族社会で政略結婚絶対主義に異論を唱えた方だ」
「まぁ…」
「俺の婚姻に関しても、自由にしていいとおっしゃってくださったんだ」
頭の固い貴族ならまずありえない。
「叔母上自身が、愛を大事にする方だ。まぁ早くに夫と死別していることもあるが」
「そういえば、王配である方は公になってないわね」
「平民だからな」
「はい?」
「叔父上は平民で剣術だけが取り柄だった」
貴族ではなく平民で、しかも騎士と来た。
結婚するのは大変だったのではないだろうか?
「勿論周りは猛反対だ。この国の者ではないし、貴族でもないとくれば…だが叔母上も譲らなかった」
「どういったやり取りがされたのか気になるわ」
「我が国では古い伝統…というか決闘があるんだ」
「決闘…」
どの国も死闘はご法度だけど、国が認めた決闘方式はあると聞いたことがある。
「叔母はああ見えて体術に関しては母上よりも上だ。特に拷問を得意とする」
「えっ…」
あんなに細い腕を持ち、白くてすべすべの肌を持つあの方が?
「得意な武器は鞭だ」
「鞭!」
「若かりし頃は、弱いものを虐げる者を懲らしめる為に仮面をつけて鞭で…」
想像してしまった。
女王陛下が悪人に鞭でビシバシしながら高笑いする姿。
「女王様とお呼びとか言っていた」
「安易に想像できるわ」
清楚なだけの姫君に一国の王が務まるわけがない。
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