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番外編

若き王の事情⑤

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その一か月後、ミカエルが王位を継承する事が知らされた。


王都新聞で大きく取り上げられ、他国にもその知らせが届いた。
戴冠式の為に国内ではお祭り騒ぎになり、友好国もミカエルの王位継承を祝う声が大きかった。



ただその一方で、病気が完治したはずの国王が何故こんなに早く王位を譲る事に疑念を抱き始めた。



生前退位するには多くの憶測を生んだ。



「いい感じに噂が流れていますわ」


「ありがとうございますリーシャ様!」


「お礼には及びませんわ。恥知らず共を一気に潰して差し上げますわ」


「だから拳を突き上げるんじゃない」


リーシャは悪人顔で拳にグローブを嵌めていた。
最近凶器を新しくしたと聞いていたが、日に日に道具が悪化していた。


「リーシャ様、素敵なグローブですね」


「危険の間違いだろうが」


「本当に女々しいですわね?大丈夫ですか死なない程度に調整できますわ」

魔力でグローブの針を調整できるきょうになっているようだ。

「毒ガスもだせますのよ」


「頼むから止めてくれ」


本当に人を殺しかねない。

「善良な市民には使いませんわ。悪人の拷問や罰を与える時に有効ですの」

「お前は…」

「今度の計画を考えた愚か者には最新作のグローブでお仕置きですわ」


そう言いながらトランクから取り出したのはグローブの数々。


「最近はデザインも拘ってますのよ?これなんて触れるだけで電撃が流れますの」

「流れますのじゃないだろ!」

「ちなみですが、試運転は全て終わってますにでご心配なく」


輝かしい笑顔を浮かべているリーシアにユリウスは再び胃を抑える。



「失礼します」


「ギーゼラ」

「メアリ様、夫から報告があがりました。守備は万全です」


「ありがとう」


帝国に数名のスパイを送ることが叶い、腕に覚えのある記者を送り込むことが成功した。


「感染対策はばっちりですが、無理をしないようには言ってあります」

「内情を探る為でも自身の身を最優先に考えてるように言ってください」

「はい」


ダークエルフの戦士にも協力を頼んだ。
普通の人間が感染しやすい体でもダークエルフの方が感染のリスクが薄い。


(ダークエルフである彼らなら危険が少ない)



絶対に感染しないと言い切れないが、体に結界を作り予防策をしている。


(戴冠式までにすべてを調べないと)



メアリは天に祈り、彼等に希望を託した。



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