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第三章真実の聖女
12魔力の暴走
しおりを挟むこれまで馬鹿にしていた生徒に追い越されるなんてありえない。
現実を認めたくないユーフィリアはもう一度、魔法を使おうとした。
「待ちなさいモリガンさん!」
「今度こそできます!」
止めるのも聞かずに魔力を込めて的にぶつけようとしたが。
「何?何か音が…」
「それに上から!」
ユーフィリアは苛立ちながら魔力を込めるも。
「待って!魔力をこれ以上使ったらダメ!」
「は?何を言って…」
「力が暴走しているわ」
「え?」
ユーフィリアの魔力が暴走し傍にある大木に魔力がぶつけられていた。
「皆さん逃げなさい!」
大木は魔力の影響を受けた倒れてしまう。
「きゃあああ!」
生徒の前に大木が倒れてしまい数名の生徒が被害にあってしまった。
「急いで治癒を…!治癒魔法ができない者は消火を!」
「「「はい!」」」
ユーフィリアの魔力の暴走により大木が倒れ、倒れた木は燃えていた。
その所為で周りが火の海になって、他の生徒も混乱する中教師は的確に指示を下すも。
「ユフィ!早く火を…」
「できないわ」
「は?」
「だって…そんなのしたことないんだもの!私は悪くないわ…そうでしょ!」
「ああ、君は悪くない」
アークは怯えるユーフィリアを抱きしめるも。
「いい加減にしてよ!何座り込んで男といちゃついているの」
「この状況で良くそんなことができるな」
その場にいた他の魔術師が非難を浴びせる。
「早く魔法で…水魔法で火を消すのを手伝いなさいよ」
「そうよ。こっちは消火活動もしているのに!アンタだって魔術師でしょ」
「自称聖女が聞いて呆れるわ」
これまで不満を持っていた生徒は一気に爆発したのだった。
「大体、さっきからなんなの?」
「誰の所為でこうなったのよ…」
「それに他の生徒は走り回っているのに」
怒りの矛先は動こうともしないアークにも向いた。
「聖騎士だって聞いていたけど、何もできないのね」
「がっかりだわ」
「…っていうか、あの噂。被害者はメアリ様じゃないの?」
ヒソヒソと囁く声が聞こえ、ユーフィリアの味方だった生徒は距離を取っていた。
所詮彼女達は己の保身が大事でしかない。
「今はそんな事よりも救助が先よ」
「風紀委員が来てくれるまで私達で…」
「そうよ!今はくだらない事を言っている場合じゃないわ」
最初に率先して消火活動を行った生徒が口論を止め消火活動を促したのだった。
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