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第二章魔導士の条件
10二つの思い
しおりを挟む火の海になる森と、獣達の悲鳴が聞こえた。
「どうなっているんだ…フェンリルが暴れている」
「彼等が暴れたのか」
「違います。彼等は誇り高い種族です」
メアリはフェンリルは自分から他種族を襲うような真似をしないことを知っていた。
「彼等は誇り高い一族…危害を加えなければ攻撃しません」
「では…」
「黒い呪印…あれです!」
ギーゼラをかつて苦しめていた呪いと同じだった。
「何であんな物が」
「フェンリルの群れだ!」
気配に気づいたフェンリルの群れが攻撃を仕掛ける。
「こうなったら!」
騎士科の生徒達が魔法で攻撃をしようとするも。
「ダメ!攻撃しちゃ…」
「しかし!」
「あの呪いさえ浄化できればフェンリルは元に戻ります」
「ならば!」
「わぁ!」
ミカエルは光魔法を使い空を飛ぶ。
メアリを横抱きしたままで。
「ユリウス!」
「あー!勝手に動くな…群れは俺が引き付ける!そこの二人、こいつ等を大人しくさせろ!騎士の奴等は援護だ」
「「「はい!」」」
ミカエルのサポートを行い的確な指示を行うユリウス。
「私達で群れを一か所に集めてフェンリルの親と引き離しますわ」
「はい姫様」
リーシアとギーゼラは自身のグリモワールを取り出す。
「私のグリモワールは召喚。召喚術で水属性の精霊を召喚します」
グリモワールの力で精霊を召喚するリーシアは水で足場を悪くする。
「長くは持ちません。急いで!」
「ここから先は通さない」
二人の援護で三人はフェンリルの親の元に向かう。
「お前等、絶対に止めろ。メアリ、失敗は許さねぇ」
「はい!」
ミカエルに抱きかかえられたままメアリはフェンリルの親の元に向かった。
すると首輪の元に周る。
「殿下!私をあそこに!」
「解った」
敵の懐に入ればかみ殺されるが、メアリの判断を信じた。
光の結界で早く飛び、メアリは首輪にしがみ付く。
呪いはギーゼラの時と比べ物にならず手に火傷を負うが、腕の痛みよりも辛いのは。
「フェンリルの方が痛がってる」
「メアリ…」
結界魔法で首輪に結界を作っても、ギーゼラの時とは比べ物にならなかった。
「フェンリル!怒りを納めてくれ!」
「ガァァァ!」
怒りで我を失っているフェンリルは爪を立てミカエルを襲うが剣で防ぐ。
(メアリを傷つけさせるわけには行かない…だが!)
フェンリルは呪いで苦しんでいるならば傷つけたくなかった。
「絶対助ける!」
メアリの強い気持ちとミカエルの守りたい思いが重なり二冊のグリモワールが光を放つ。
「ガァァァ!」
結界魔法が強化され、呪いの力が弱まり首輪に亀裂が入り粉具に砕け散った。
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