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第一章婚約破棄と白のグリモワール
25罪深き行為
しおりを挟む騎士科は予科、本科・専科と三つに分かれている。
一年生から二年生は予科に入り二年生でもとりわけ優秀な騎士科の生徒は本科に入る。
そして本科から専科に入るのは一握り。
通常は本科が予科の生徒を指導する事になっている。
アークは予科から本科の転科が約束されていたのだが、今回の事で適性がないと判断され予科のままだった。
(クソ!何故俺が!)
聖騎士の称号を持ちながら他の一般騎士と混じりながら訓練をする傍ら、苛立っていた。
そんな中、本科の生徒達が騒いでるのに気になり視線を向けると。
「見て専科のソーマ様よ!」
「我が校の誇り、最年少で天騎士となられるなんて素敵ね」
現在学園では聖騎士、聖竜騎士、天騎士が存在する。
聖騎士は特別な存在であり光の加護を受けているがその上が聖竜騎士でその上が天騎士だった。
聖騎士でよりも格上なのが聖なる竜を従える騎士でその上が天馬を従えている騎士になる。
「見て、ソーマ様とお隣にいるのは」
「誰かしら?随分と親し気ね…頭を撫でられているわ!」
「いいな…」
ソーマは監督生代表でもあり憧れだった。
「シンディア様もいらしたわ…あら?ソーマ様を蹴り飛ばしましたわ」
「彼女を抱きしめ睨みつけているわね」
どう見ても監督生二人がメアリを取り合う図ができている。
「二人に取り合われるなんて羨ましいわ」
「でも、小動物のようで可愛らしいわね」
「ええ」
本科の女性騎士は小さいものが好きだった。
小柄なメアリは小さな動物のようでほほえましく感じる。
「本当に可愛らしいわね」
「噂では生徒会に入った二年生と聞くわ」
「じゃあ、お二人の補佐をされるのね」
女性騎士達は楽しくおしゃべりをする。
(何で…何でだ!)
持てはやされるメアリはこれまで関りの無かった生徒と関り、先ほどの訓練で騎士科の本科生の上級生からも気に入られている。
予想外の事が起き過ぎてアークは納得できなかった。
少し前まではアークは学園の中心だった。
聖女と慕われるユーフィリアと許されない恋をして周りから応援されていた。
(どうしてメアリが王子一行と…)
全てがおかしくなったのは、ミカエルが接触してからだった。
それまではメアリが悪女として扱われていたのに今では立場は逆転している。
アークは気づきもしなかった。
ユーフィリアと恋仲になってから噂でメアリが傷つこうが手を出さなかった。
悪い噂を流したのは自分ではないが利用して自分には被害が行かないように保身的に動いていた事。
メアリを軽んじてあくまで優しい婚約者として接していた事に。
浮気をした時点でアークも罪を犯している事に気づきもしなかったのだ。
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