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第一章婚約破棄事件
1.伯爵夫人の生活
しおりを挟む昨年の冬に求婚なるものをされた私は伯爵家の妻に就職いたしました。
そして現在私は。
「奥様!何をされているのです」
「これより、売り込みに行ってまいります」
ブリリアント商会とマグリット商会は同盟を結ぶ事となりました。
ただし親会社、子会社という関係ではなくあくまで対等な関係を築いた後に協力体制を作りました。
その為、私は二つの商会を行き来し、パイプ役をしているのでした。
「お嬢様…じゃなくて奥様!身重の状態で」
「問題ありません。馬車は手配いたしました。何より流れる心配がないようにしっかりと準備もしておりますので」
「流れるなんて恐ろしい事を言わないでください」
彼女の名前は、リゼット・ジョイル。
実は父が生きていた時から我が家に住み込みで働いてくれたメイドだったのですが、彼女を使用人として連れて行くことはできないと言われ、彼女自身も男爵令嬢という立場故に結婚したそうですが、扱いが相当ひどい者だったらしいです。
子供も中々身ごもらない事で離縁を突きつけていたのですが、彼女自身は仕事のできる女性です。
貯金もしっかりしてあったようなのであっさりと離婚をして来たそうです。
その後偶然にも私の事を知って駆けつけてくれたのですが、ヴィルマが彼女を雇ってくれたのです。
「この間も診療所で営業をなさったそうで」
「効率よく営業を円滑にするにはうってつけです。しかも妊婦さんを標的にするのは新しい商売を」
「はい、解りました。お仕事に熱心なのは解っておりますが。もう奥様お一人のお体ではございません」
昨年の冬に求婚された私は春に結婚式を挙げた後に妊娠している事が発覚しました。
周りは当初呆れていたそうです。
何処の世界に結婚式を挙げて二週間足らずで子供を身ごもるのか前代未聞だと。
近年、出産率が低下するご時世だそうです。
例外もあるのですが、上流階級では問題視されているのですから。
私の場合、本当にぶっ飛び過ぎでしょうか。
交際期間無しで婚約、結婚をしてすぐに子供を身ごもったのです。
「普通挙式を上げて落ち着いたと思ったら…」
「私も驚きました。てっきり新作のチーズを試食をして嘔吐しただけだったと思ったのですが」
「奥様…」
その後、気分が悪くなり傍にいた女性が産婆さんだったのが幸いでした。
直ぐに診ていただくと、妊娠している可能性があると言われた後に再検査をすると妊娠していると断言されました。
しかし、結婚して直ぐに妊娠とは困りましたが、マークとヴィルマを出し抜くのは至難の業で早々に旦那様に報告されたのです。
「あの時の旦那様は大変動揺されていたのでしょう」
「同様の仕方がおかしいでしょう。何故、専属の医師を10人雇うんです?しかも宮廷医師を」
この際、病院を買い取るなどと乱心されて大変でした。
「副ギルド長に感謝しなくては」
私の結婚式では母代わりを務めてくださった副ギルド長が止めてくださり、後はマーク達とも結託したので事なきを得たのです。
その後も何かと相談に乗ってくださっていますので頭が上がりません。
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