上 下
13 / 48
第一章婚約破棄事件

1.伯爵夫人の生活

しおりを挟む





昨年の冬に求婚なるものをされた私は伯爵家の妻に就職いたしました。


そして現在私は。



「奥様!何をされているのです」

「これより、売り込みに行ってまいります」


ブリリアント商会とマグリット商会は同盟を結ぶ事となりました。
ただし親会社、子会社という関係ではなくあくまで対等な関係を築いた後に協力体制を作りました。


その為、私は二つの商会を行き来し、パイプ役をしているのでした。

「お嬢様…じゃなくて奥様!身重の状態で」

「問題ありません。馬車は手配いたしました。何より流れる心配がないようにしっかりと準備もしておりますので」

「流れるなんて恐ろしい事を言わないでください」


彼女の名前は、リゼット・ジョイル。

実は父が生きていた時から我が家に住み込みで働いてくれたメイドだったのですが、彼女を使用人として連れて行くことはできないと言われ、彼女自身も男爵令嬢という立場故に結婚したそうですが、扱いが相当ひどい者だったらしいです。


子供も中々身ごもらない事で離縁を突きつけていたのですが、彼女自身は仕事のできる女性です。
貯金もしっかりしてあったようなのであっさりと離婚をして来たそうです。

その後偶然にも私の事を知って駆けつけてくれたのですが、ヴィルマが彼女を雇ってくれたのです。


「この間も診療所で営業をなさったそうで」

「効率よく営業を円滑にするにはうってつけです。しかも妊婦さんを標的にするのは新しい商売を」

「はい、解りました。お仕事に熱心なのは解っておりますが。もう奥様お一人のお体ではございません」


昨年の冬に求婚された私は春に結婚式を挙げた後に妊娠している事が発覚しました。
周りは当初呆れていたそうです。

何処の世界に結婚式を挙げて二週間足らずで子供を身ごもるのか前代未聞だと。

近年、出産率が低下するご時世だそうです。
例外もあるのですが、上流階級では問題視されているのですから。

私の場合、本当にぶっ飛び過ぎでしょうか。
交際期間無しで婚約、結婚をしてすぐに子供を身ごもったのです。


「普通挙式を上げて落ち着いたと思ったら…」

「私も驚きました。てっきり新作のチーズを試食をして嘔吐しただけだったと思ったのですが」

「奥様…」

その後、気分が悪くなり傍にいた女性が産婆さんだったのが幸いでした。
直ぐに診ていただくと、妊娠している可能性があると言われた後に再検査をすると妊娠していると断言されました。


しかし、結婚して直ぐに妊娠とは困りましたが、マークとヴィルマを出し抜くのは至難の業で早々に旦那様に報告されたのです。


「あの時の旦那様は大変動揺されていたのでしょう」

「同様の仕方がおかしいでしょう。何故、専属の医師を10人雇うんです?しかも宮廷医師を」

この際、病院を買い取るなどと乱心されて大変でした。


「副ギルド長に感謝しなくては」


私の結婚式では母代わりを務めてくださった副ギルド長が止めてくださり、後はマーク達とも結託したので事なきを得たのです。


その後も何かと相談に乗ってくださっていますので頭が上がりません。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~

インバーターエアコン
恋愛
 王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。   ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。 「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」 「はい?」  叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。  王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。  (私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)  得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。  相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。

自分の完璧に応えられない妻を売った伯爵の末路

めぐめぐ
恋愛
伯爵である彼――ボルグ・ヒルス・ユーバンクは常に、自分にとっての完璧を求めていた。 全てが自分の思い通りでなければ気が済まなかったが、周囲がそれに応えていた。 たった一人、妻アメリアを除いては。 彼の完璧に応えられない妻に苛立ち、小さなことで責め立てる日々。 セーラという愛人が出来てからは、アメリアのことが益々疎ましくなっていく。 しかし離縁するには、それ相応の理由が必要なため、どうにかセーラを本妻に出来ないかと、ボルグは頭を悩ませていた。 そんな時、彼にとって思いも寄らないチャンスが訪れて―― ※1万字程。書き終えてます。 ※元娼婦が本妻になれるような世界観ですので、設定に関しては頭空っぽでお願いしますm(_ _"m) ※ごゆるりとお楽しみください♪

これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。

りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。 伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。 それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。 でも知りませんよ。 私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

20年越しの後始末

水月 潮
恋愛
今から20年前の学園卒業パーティーで、ミシェル・デルブレル公爵令嬢は婚約者であるフレデリック王太子殿下に婚約破棄を突き付けられる。 そしてその婚約破棄の結果、フレデリックはミシェルを正妃に迎え、自分の恋人であるキャロル・カッセル男爵令嬢を側妃に迎えた。 ミシェルはありもしないキャロルへの虐めで断罪された上、婚約破棄後に出た正妃の話を断ろうとしたが、フレデリックの母からの命令で執務要員として無理矢理その座に据えられたのだ。 それから時は流れ、20年後。 舞台は20年前と同じく学園の卒業パーティーにて、再び婚約破棄の茶番劇が繰り広げられる。

平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。

ねがえり太郎
恋愛
江島七海はごく平凡な普通のOL。取り立てて目立つ美貌でも無く、さりとて不細工でも無い。仕事もバリバリ出来るという言う訳でも無いがさりとて愚鈍と言う訳でも無い。しかし陰で彼女は『魔性の女』と噂されるようになって――― 生まれてこのかた四半世紀モテた事が無い、男性と付き合ったのも高一の二週間だけ―――という彼女にモテ期が来た、とか来ないとかそんなお話 ※2018.1.27~別作として掲載していたこのお話の前日譚『太っちょのポンちゃん』も合わせて収録しました。 ※本編は全年齢対象ですが『平凡~』後日談以降はR15指定内容が含まれております。 ※なろうにも掲載中ですが、なろう版と少し表現を変更しています(変更のある話は★表示とします)

婚約破棄、爵位剥奪、国外追放されましたのでちょっと仕返しします

あおい
恋愛
婚約破棄からの爵位剥奪に国外追放! 初代当主は本物の天使! 天使の加護を受けてる私のおかげでこの国は安泰だったのに、その私と一族を追い出すとは何事ですか!? 身に覚えのない理由で婚約破棄に爵位剥奪に国外追放してきた第2王子に天使の加護でちょっと仕返しをしましょう!

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

処理中です...