冷遇ですか？違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます！

第七章

10.裏切者～マリアンヌside

お父様もお母様も私を愛してくれない。

どうして私から離れて行くの！


「マリアンヌ」

「誰！」


私を呼ぶ声がする。


「ジェイル」

「マリアンヌ…」


私と契約していた精霊だった。


「ジェイル、今すぐに魔力でこの手錠を…この牢屋を壊して」

「嫌よ」

「何故！」


私の精霊の癖に何で何もしてくれないの。

「貴女との契約は切れているわ」

「私を裏切るの！」

「裏切ったのは貴女じゃない…私達を道具としてしかおもってないじゃない。私は何度も忠告したわ…なのに貴女は傲慢になって行くばかり」


私は何も悪くないのよ。
なのに皆して私を苛めるのね！


すべてあの女が…


「どうして自分の非を認めないの…そんなに姉が憎らしいの」

「あんなの！」

「昔の貴女は綺麗な心を持っていた。だけど周りの悪い気を持つ人間に甘い言葉に囁かれた所為で」

「違う！」



私の精霊なら私の事を愛しなさいよ。
守りなさいよ。


なのにどうして何もしないの？

役立たずね！


「何時か気づいて欲しいと思った…なのに貴女は気づいてくれなかった。裏切ったのは私じゃないわ」

「何よ…」

「貴女が先に裏切ったのよ。貴女はあの方の愛し子までにも手を出したのよ」

愛し子って誰よ。

「私達の大切な友であり恩人、大賢者様の子孫…」

「何を…」

「貴女の姉は大賢者様の魂を持つ者よ」


嘘よ！

じゃあ、エリーゼは精霊の加護を持っていないわけじゃない。

出来損ないだったはずなのに！


「あの方は加護がないんじゃない。加護なんて必要ないのよ…契約しなくても必要とあれば精霊は手を貸すわ」


「そんな…じゃあ」


ずっと見下して来たのに。

最初からあの女は。


「卑怯よ。無条件で精霊に愛されているなんて」

「無条件なわけないでしょ？精霊達は見ているのよ…例え魂が繋がっていても精霊の心は離れるわ」

「でも！」

「彼女は人を精霊を、神を敬い他者への思いやりを忘れなかった」

思いやりなんて意味がないわ。


だってそうでしょ？

そんな物で何ができると言うの。

「貴女は自分で自分御首を絞め、私達を道具として見ていなかった。だから…」

「煩い！」


お説教は沢山。
私はあんな負け犬とは違うのよ！


私は何も間違っていない。


「マリアンヌ…」

「消えてよ！アンタなんかもういらない！」

「解ったわ」


こんな役立たず私の精霊じゃない。


そうよ、これは悪夢で朝が来れば消えるはずだわ！