上 下
166 / 311
第四章

14.お悩み相談

しおりを挟む



あの日からロミオ様の態度が激変した。
サーシャが好きだとばかり思っていたのに、本当は私が好きだと。

頭の中が真っ白だった。
ロミオ様は嘘で告白をしたりキスできる人じゃない。

あの人はかなり潔癖症だ。
社交辞令は勤められるけど、愛想笑いができない不器用な人だった。

義務であっても好きでもない相手にキスなんて…。




――キス。


「のぉぉぉ!」

思い出すな私。
忘れようと必死に暗示をかけていたのに!


「おかしな奇声を発しないでください。防音設備があるとはいえ聞こえたらどうするのです」

「だってエカテリーナ様!ロミオ様がサーシャとワンツーフィニッシュじゃなくて。私とワンツーするんです!」


「今さらですわね。馬鹿ですわね?あの唐変木男が貴女を好いているなんて明白でしょう?第一、何故サーシャさんを好いている等と誤解が生じるのです?幼児でも解りますわ」


「僕は、あの言葉だけですべてを理解するエカテリーナさんに驚くのはおかしいのでしょうか」

「スコット、君は正しいよ」

「殿下!」


背後でスコットとロニー様の友情が結ばれていたが、今の私はそんなものどうでもいい!


「何でですか!」

「貴女、馬鹿なのか、そうではないかはっきりなさい!どうして普通の事ができなくて普通じゃないことを簡単にするんですの!」

「何でロミオ様みたいな優良物件の代表が、私みたいなのを好くんですか?容姿も学力も平均以下。魔力は残りかすですよ!」

「貴女はご自分を過小評価する癖を何とかなさい!ああ、こんな方が私を押しのけて白金になったなんて!」


「なら返上します!」

「できるわけないでしょう!」


私が白金になれたのはタイミングが良かった事と、周りに優秀なサポーターがいたからであって私の実力だけじゃない。


「大体、私が白金に選ばれたのはサーシャのおかげでもあるんです」

「貴女は自分がどれだけの事をしてしまったか解ってないのですわ!いい加減に現実を認め、ロミオ様のお気持ちも受け止めなさい。どっしり構えなさい!」


テーブルを叩かれ怒られてしまう。


そうは行ってもロミオ様は私に惚れる理由は何?


「幼い頃から孤独で爪はじきにされた妹君を救い、病で余命宣告された母君を救い、尚且つ伯爵家の問題を解決しただけでも十分すぎますわよ…まぁその前からあの方は貴女を好いてましたが」

「いや…婚約時に社交辞令で言われましたが」

「あのお世辞の一つも言えない失礼な男が言うわけないでしょ!」


「失礼って、ロミオ様は誠実なだけです」

確かにお世辞は得意じゃないけど、相手を傷つけるような事はしない人だった。

「物は良いようですわね?ああいうタイプの男性は一人の女性しか愛せないのです。宰相閣下がお手本ですわ。あの腹黒伯爵が」

「ユアン様は腹黒ではありません」

「腹黒ですわ。奥様が欲しいが為に宰相となり、反対する貴族をことごとく没落に追い込んだのですから。まぁ、元より違法行為をした貴族でしたが」


知らなかった。
あの温和で虫も殺さないような目をしたユアン様が。


「世間ではロールキャベツ男子と言うんですわ。ロミオ様だって大人しそうにしていて、何をするか…って、どうしましたの?」


「まさか、もう手を出されたんですか?」


はい、出されましたよ。

ばっちりと。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

私が妊娠している時に浮気ですって!? 旦那様ご覚悟宜しいですか?

ラキレスト
恋愛
 わたくしはシャーロット・サンチェス。ベネット王国の公爵令嬢で次期女公爵でございます。  旦那様とはお互いの祖父の口約束から始まり現実となった婚約で結婚致しました。結婚生活も順調に進んでわたくしは子宝にも恵まれ旦那様との子を身籠りました。  しかし、わたくしの出産が間近となった時それは起こりました……。  突然公爵邸にやってきた男爵令嬢によって告げられた事。 「私のお腹の中にはスティーブ様との子が居るんですぅ! だからスティーブ様と別れてここから出て行ってください!」  へえぇ〜、旦那様? わたくしが妊娠している時に浮気ですか? それならご覚悟は宜しいでしょうか? ※本編は完結済みです。

婚約解消された私はお飾り王妃になりました。でも推しに癒されているので大丈夫です!

初瀬 叶
恋愛
王宮に呼ばれ、案内された部屋に入ると錚々たる顔ぶれに怯みそうになる。 そこには、国王陛下、側妃であるライラ妃、王太子殿下、私の父であるオーヴェル侯爵、そして、私の婚約者…いや、元婚約者であるジュネ公爵令息のセドリック・ジュネ様が私を待ち構えていた。 私の名前はクロエ。オーヴェル侯爵の長女としてこの世に生を受けた。現在20歳。 ちなみに私には前世の記憶がある。所謂、異世界転生というやつだ。 そんな私が婚約解消されました。で、なんでお飾りの王妃に? でも、側で推しが私を癒してくれるそうです。なら大丈夫?! ※ 私の頭の中の異世界のお話です。史実に基づいたものではありません。 ※設定もふんわり、ゆるゆるです。 ※R15にしています。詳しい性描写はありませんが、匂わせる描写や直接的な単語を使用する予定です。 ※2022.10.25 14話と16話と24話のクロエの名前、オーヴェルがオーウェンとなっておりましたので、訂正させて頂きました。読者の皆様に混乱を招いてしまったかと思います。申し訳ありません。 ※2022.10.26 HOTランキング1位を獲得する事が出来ました。たくさんの方に読んでいただける事が、とても励みになっています。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 ※2022.11.13 ジーク・ロイドの婚約者の名前をマイラからアリシエに変更させて頂きました。同じ名前が重複していた為です。申し訳ありません。

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】「冤罪で処刑された公爵令嬢はタイムリープする〜二度目の人生は殺(や)られる前に殺(や)ってやりますわ!」

まほりろ
恋愛
【完結しました】 アリシア・フォスターは第一王子の婚約者だった。 だが卒業パーティで第一王子とその仲間たちに冤罪をかけられ、弁解することも許されず、その場で斬り殺されてしまう。 気がつけば、アリシアは十歳の誕生日までタイムリープしていた。 「二度目の人生は|殺《や》られる前に|殺《や》ってやりますわ!」 アリシアはやり直す前の人生で、自分を殺した者たちへの復讐を誓う。 敵は第一王子のスタン、男爵令嬢のゲレ、義弟(いとこ)のルーウィー、騎士団長の息子のジェイ、宰相の息子のカスパーの五人。 アリシアは父親と信頼のおけるメイドを仲間につけ、一人づつ確実に報復していく。 前回の人生では出会うことのなかった隣国の第三皇子に好意を持たれ……。 ☆ ※ざまぁ有り(死ネタ有り) ※虫を潰すように、さくさく敵を抹殺していきます。 ※ヒロインのパパは味方です。 ※他サイトにも投稿しています。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 ※本編1〜14話。タイムリープしたヒロインが、タイムリープする前の人生で自分を殺した相手を、ぷちぷちと潰していく話です。 ※番外編15〜26話。タイムリープする前の時間軸で、娘を殺された公爵が、娘を殺した相手を捻り潰していく話です。 2022年3月8日HOTランキング7位! ありがとうございます!

処理中です...