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第一章
7愚痴
しおりを挟む私はこの時王子は最低な男だと決めた。
「何しているの」
「王子への憎しみを地面に訴えています。ノートに書いたら後から厄介です。地面なら水を撒いたらすぐ消えるじゃないですか」
「そこなの」
「はい」
私だって馬鹿じゃない。
一国の王子に無礼は許されない。
「私が高位貴族で男性なら決闘を申し込む所です」
「その時点で死刑だよ」
「じゃあ、このままどうするんですか。婚約者は最低王子なんて…あの言い方はリーゼロッテ様がどれだけ苦しんでいるか理解していませんよ」
「それに関しては姉さんにも弱みを見せないから」
「素晴らしいじゃないですか。平素から気丈に振舞われているなんて」
私なんて見た目を取り繕うのも難しい。
今でこそマシになったけど幼い頃はお茶会でも嫌味を言われびくびくしていたんだから。
「殿下の浮気に関しては許せないけど。政略結婚で姉さんも常に自分にも周りにも厳しくあろうとするからね」
「それだけ相手に期待しているんじゃありませんか。甘やかすだけなんて優しさでもないです」
私の懇意にしているギルドの親方は最大の優しさは厳しさだ。
溺愛して甘やかすだけなんて優しさじゃない。
「君、結構真面な考えを持っていたんだね」
「私を何だと思っておられます」
むっとしながらも私は歯ぎしりをする。
「先ほどから何か音がしませんか?」
「リスでもいるのか?」
私が地面にガリガリ書いたり、歯ぎしりの音をリスと勘違いをしていた。
「殿下が鈍くて助かった」
「フンッ。ああいうのを馬鹿殿と言うのですよ」
「止めろ、あの方は王太子としては優秀だ。フォージュ男爵令嬢の事がるまではそれなりに尊敬していたけどね」
「そうですか」
興味がない。
第一、王太子殿下と言っても今まで功績があったか?
辺境地が貧しく特産物を作るのに苦労をしている事も知らない。
対するリーゼロッテ様の父君、公爵閣下はあらゆる改革をしておられる。
リーゼロッテ様も事業を手伝われ、視察にも赴いていられる。
これかの世は平民も教養が必要で女性も学ぶ場が必要だとおっしゃられている。
私はその考えに感銘を受けている。
辺境地では貴族でも十分な教養がない。
だからと言って王都の貴族院に入るのは難しい。
特待生制度を使えばよいよいうけど、誰もが優秀じゃないし。
貴族の中に平民が入ればどうなるか明らかだった。
だからこそ平民も学べる場が必要だとお父様も言っていたもの!
「私はあんな男に忠誠を誓いたくないです」
「本当に包み隠さないな。まぁ君の場合王様姉さんでしょ」
「はい」
「即答しないでくれる?」
ああ言えばこう言う。
私に何を言えば満足するのだろうか。
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