56 / 128
第二章
20.毒を以て毒を制す
しおりを挟む「役立たずが!」
結果を報告されたパイドラは使い物にならなくなった二人を追放した。
「予想外でしたわ海牛をペットにしているとは」
「しかも通常よりも大きいとは」
「そんなのはどうでもいいのよ!それよりも、次よ!」
こうなったら毒入りの食事を用意して苦しめてやろうと思った。
「失礼します」
「お食事が来たようですわね」
給仕係が食事を運んできた。
カーゴに乗せられている料理は変わった料理だった。
「あれ?新しい料理?」
「はい、こちらは清の国の伝統料理でございます。御毒見は既に済ませておりますので」
「そうなんだ」
テーブルに運ぶ給仕係はまんまと騙されたと思っていた。
(これで終わりよ!)
給仕係が、リリアーナが食事を食べ始めた。
しかし一向に苦しむ気配はなかった。
(おかしい…何で?)
(まぁ、待ちなさい。食後の酒は毒の塊よ?あれを一口でも飲めば…)
二人は毒が効いていないのかと思い、食後の酒にさらに強力な毒を忍ばせる。
「どうぞ」
「ありがとう」
酒を盃いっぱいに飲み干すも、変化はない。
「今日の酒、少し味がおかしいわ。古くなっているんじゃないかしら」
「え…」
「まぁ、私は多少古いお酒でも大丈夫だけど」
大丈夫とはどういうことだと思った二人は、まさか毒が効かないなんてありえないだろうとも思った。
「私は治癒師だから毒には強いの。青蜂に刺されても平気だったし」
((何ですって!))
青蜂とは虫の中でも最も強力な毒を持ち、大きなドリルで刺されれば赤蜘蛛の毒よりも強力だった。
「まぁ姫様ったら」
「私、森の神獣様に毒に耐性がつくように巨大毒蜂の蜂蜜を飲ませてもらったから…それ以降は毒が効かないのよね!」
(ふざけるな!)
(なんだそれは!)
毒の入った料理を食べてもピンピンしているわけだ。
元から毒なんて効かなかったのだ。
そんな中、汗を流している給仕係にリリアーナは気を使った。
「すごい汗だわ。水分を取って喉を潤しなさいな」
「「え!」」
「どうしましたの?姫様お気遣いですわよ?有難く頂戴なさいな」
差し出された飲み物は先ほど毒がたくさん入ったジュースだった。
「いっ…いえ」
「ご無礼を…」
「大丈夫よ?ロッテンマリアには黙ってあげるから…はい」
ここで断ると怪しまれるし、疑いを持たれてしまう。
結果的に二人は飲まざるを得なかったのだが――。
その後毒に苦しみ泡を拭いて倒れてしまった。
幸いにも死にはしなかったが、毒に苦しみ続けたのだった。
「何でよ!」
「パイドラ様!どうか落ち着いてください」
またしても作戦は失敗に終わってしまった。
56
お気に入りに追加
5,991
あなたにおすすめの小説
わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。
朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放されましたのでちょっと仕返しします
あおい
恋愛
婚約破棄からの爵位剥奪に国外追放!
初代当主は本物の天使!
天使の加護を受けてる私のおかげでこの国は安泰だったのに、その私と一族を追い出すとは何事ですか!?
身に覚えのない理由で婚約破棄に爵位剥奪に国外追放してきた第2王子に天使の加護でちょっと仕返しをしましょう!
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
[完結]悪役令嬢に転生しました。冤罪からの断罪エンド?喜んで
紅月
恋愛
長い銀髪にブルーの瞳。
見事に乙女ゲーム『キラキラ・プリンセス〜学園は花盛り〜』の悪役令嬢に転生してしまった。でも、もやしっ子(個人談)に一目惚れなんてしません。
私はガチの自衛隊好き。
たった一つある断罪エンド目指して頑張りたいけど、どうすれば良いの?
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる