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第三章雇われ国王物語
28衝突の末
しおりを挟む俺とリーシェの婚約は公に発表された。
国民からは俺が婿入りを果す事を快く受け入れてくれた。
その後に祖国のランタニア王国が従国となり、その為にカーマイル公爵が奔走してくれたどうだ。
問題なく国民に受け入れられたもは嬉しい。
その一方で未だにレックとナツメの関係性は微妙だった。
「殿下、この案は却下です。甘すぎます」
「うっ…」
「ナツメ、言い過ぎではありませんか。貴方はあくまで補佐です」
「補佐故に申しているのです。側近が足りないからあえて私が苦言を申し上げているのですよ」
「何だと!」
「二人共そこまで!」
この二人は絶えず対立をしている。
他の側近はそれなりに問題はないのだが。
マルシェやジェフは年配であるし。
威勢である事もあって今はステラとそこまで酷い衝突はない。
ただ年齢が似ている二人は衝突が多い。
「大丈夫ですよ殿下」
「ポッポ…」
「ナツメさんは解っててしているんです」
損な役回りを常に勝手出てくれているナツメには感謝だけど。
でもその為にレックから嫌われるのは心苦しい。
「臣下なればこそ、時には鞭を与えるべきです」
「お前はやり過ぎだ」
「そうやって甘やかせばろくな王になりませんよ」
何度もやり合う二人を見て口出しはできない。
二人は徹底違いな関係性がある。
「とにかく…」
「レック、この案件は甘すぎると私も思います」
「ステラ?」
俺が悩んでいると沈黙を守っていたステラが声を上げる。
「この案件は予算をもう少し下げるこちができるかと。たださえ国庫は厳しいですし」
「しかし…」
「ナツメさんは数字に関しては誰よりも明るいと思います。それに今は食料が足りない町や村の援助は湯煎すべきです」
「軍事資金を削れば反感を産みます」
「それは最もだが、も少し抑えよう」
レックの言い分は解る。
軍事資金をこれ以上減らせば国の守りはどうなるか。
平民を贔屓しているとあらぬ憶測を生む。
双方の意見は最もだ。
「軍事資金に関しては贅沢品の税を上げてそこから捻出する予定です」
「そうだったのですかナツメ…」
「私とて馬鹿ではありません。王立軍の重要性は心得ています」
「悪かった」
俺の心配は杞憂に終わる。
いがみ合い争っていても二人はちゃんと話し合うべきことは耳を傾けている。
これなら安心だ。
「軍事資金と国民達の必要な物資を早く捻出しないといけないな」
「ええ、赤字を早く黒字にしなくてはなりません」
願いは一つだった。
二人も国を思う気持ちは何一つ疑う余地はなかった。
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