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114隠れた思い

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――封印された影の歴史。
平和の裏に犠牲になった少女達の真実。


今朝一番に王都新聞の見開きのページとなったのは、これまで王家が隠していた記事だ。


「こんな大っぴらに」

「すべてはルミエルの意思だ。国王陛下は既に病床の身だ。責任を取る形で退位することになった」


少し前から女性新聞記者が出入りしている理由を聞いていた。
聖女を廃止することを決めた殿下は強引な手段を取ると聞かされていたし、教皇様も協力するつもりだったらしい。


でも、これでは――。

「他国から何を言われるか」

「無傷で済まないだろう。貴族派も黙っていないだろうが既に情報を開示しているんだ。手遅れだ。おかげで国民は怒り心頭だな」

「笑っている状態では…」

「大幅な人員の入れ替えが行われる。だがこれも想定内だ。母上が前に出て色々動かれている」

「シュリ様が…」

「本当に怒らせると怖いものだ」


普段微笑みを絶やさないあの方を怒らせたらどんなに恐ろしいか。

「表向きには母上も爵位を返上して責任を取ると申し出た。表向きは」

「なるほど。そうなれば馬鹿な共も爵位を奪われるでしょうね」


春麗…言いたい放題だな。


「君のご両親も同様に爵位、領地を返上する手続きを取っている。まぁすべて没収とはいかないが、降格になるだろう」

「旦那様ならば問題ないでしょう…領民は旦那様を裏切りません」

「ああ、侯爵閣下は優秀だ。多少降格になってもまた持ち直せる」


確かにお父様は領民からの信頼されているし、優秀だ。
外交問題も解決できるほどん手腕を持つ。


「王家が今こそ手腕を問われている」

「フレディー…」

「国民に重税を強いるだけで、何もできないなら王家は必要ない。この状況さえも武器にする強かさをルミエルは持っている。だから大丈夫だ」


殿下はとても聡明な方だ。
清廉潔白に見えて、そうではないのだ。

ある意味、手段を選ばない時もある。


なのだけど…


「最近の殿下は無理をし過ぎているように見えます」

「それは…まぁ」

「無理に御自分を追い詰めて忘れようとしているのでしょうね」

「やっぱり…マリア様もなのです」

聖女としての最後の役目をきっちり果たすべく寝る時間を惜しんでいる。
まるで何かを忘れるように我武者羅に仕事をしているように見える。

その何かなんて明らかだ。


「ルミエルは自分の気持ちを封印している。マリア殿の思いを」

「マリア様の同じでしょうね」

「でも…それって」


二人はもうすぐ離れ離れになる。
だからこれ以上心を通わせることはできない。


してはいけないと思っている。


でもそれって…


自分の心を偽るってことなんじゃないかしら。

根本的な解決にならないわ。


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