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64不測の事態~ジャネットside②
しおりを挟むなんとかして結界を張り治す方法を考えなくてはと焦れば焦る程上手くいかず、魔力が暴走してしまった。
上手くコントロールができなくなる中、私は無我夢中だった。
その所為で周りがめちゃくちゃになって巫女が声を荒げていたのだった。
「ジャネット様、お待ちください!魔力を抑えてください!」
「問題ないわ!このまま…」
巫女の声が煩い。
私は今集中しているのだから静かにしてよ。
そう思っていたのに。
「きゃああ!」
「巫女様!」
私の魔力が怒りと共に雷撃となり巫女に当たりそうになった。
「これは結界魔法?」
「すごい…こんな結界見た事がないわ」
巫女に雷撃は直撃しなかった。
当たる直前に結界化が巫女を守ったのだ。
でもこの魔法は。
「これはどういうことですか」
「なっ…」
「どうして!」
離宮に住居を移したはずのあの女が現れた。
その隣には殿下も傍に。
「胸騒ぎがして来てみれば…」
「マリア様!」
「大丈夫?ロザリー」
「はっ…はい」
結界は解かれ、あの女は巫女の傍に駆け寄る。
何で結界魔法。
しかも攻撃魔法を弾き、私の魔力を無効化するなんてありえない。
「ジャネット嬢、これはどういう事だ」
「殿下…これは」
「巫女を殺そうとしたのか?雷の魔法は巫女を狙っていた。彼女達は己の身を守る防御魔法はない」
違う。
イライラしたけど殺そうなんて思っていない。
そんなことを私がするはずがないのに上手く言葉がでない。
口ごもってしまう私はこの時言葉の選択を間違えていた事に気づかず思ったままの事を口にしてしまった。
「私の邪魔をするから…それで」
「ふざけない。そんな理由で巫女様達を傷つけていいと?人の命を何だと思っているのよ」
「なっ!」
この私に意見するなんて!
なんて無礼者なのよ。
私は殺そうだなんて思ってない。
ちょっと間違えただけじだし、邪魔をして来たのは巫女でしょ?
「ジャネット様、あの者の手にあるあれは」
「それは!」
あの女が持っている花を見て絶句する。
だってありえないもの。
これは悪夢だわ。
現実であるはずがないと言い聞かせた。
それ程に信じられない光景だったのだから。
「聖花…」
「なんて美しいのかしら」
巫女達は黄金の光を放つ白百合に目を奪われていた。
そう、あの女が手にしているのは伝説の聖なる花。
初代聖女だけが咲かせることができた聖花だった。
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