聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります！

46キノコ狩り

モニーク領地は不便な土地であるが食料は豊作だった。
肉は狩りをしなくてはならないのだけど。

まだ初心者の私はというと。


「よし完璧だわ」

「サーシャ、キノコと山菜だけで良い。無理はしなくていいからな」

「おまかせを！とびきり大きなキノコを持ち帰ります」


「いや、普通サイズで良い」


武者修行と言う名の花嫁修業は今日も続行中だ。
山道は危険だという事で、フレディーと護衛として竜騎士が数名同行してくれることになったのだけど。


「お前達、絶対にサーシャが迷子にならないように」

「承知しました」

「姫様、危ないですからお一人では先走らないでくださいね」


モニーク家の竜騎士の人達は私にも本当に良くしてくれる。
勉強が苦手は私にも時々勉強を見てくれて、勉強に疲れた時は空のお散歩にもつれて行ってくれる。


「今日は沢山キノコを採って、フレディーがキノコ鍋を作ってくれるんです」

「そんな約束をしたんですか」

「何だ、その目は！」


王都ではキノコ料理なんて食べられなかった。
新鮮な山菜に、キノコを使った料理が食べられるなんて嬉しい。


朝食にもキノコを沢山を使ったシチューは絶品だ。


「お嬢様、くれぐれもお一人で行動なさらないでくださいね？不慣れな土地では」


何時ものように春麗のお説教が始まる中、足元で何が動いた瞬間針が飛んでくる。


「このように危険な生き物がございます」

「侍女殿…なんという腕前で」


春麗は体の至る所に武器を忍ばせている。
清の国では、宮女も侍女も武術の心得のある女性が多いとか。

春麗も子供の頃から仕込まれたと聞く。


「流石春麗！」

「お嬢様、毒を盛った生き物には素手で触らないようにお願いします」

「えっとハブとかなら大丈夫よ」


「サーシャ、君はどのような過酷な幼少期を」


私は爬虫類とか平気だわ。

平気と言うか好きな部類だ。

「あ、可愛い白蛇」

「お嬢様、言っている傍から素手で掴まないでください」

「毒ないから平気。可愛いな」


モニーク領地にはこんなに綺麗な白蛇がいるんだ。

「木苺食べる？」

「シャー！」

「気のせいだろうか、蛇と対話しているように見えるのは」

「フレデリック様、我々もそう思っていた所です」


肩に蛇を乗せると気に入ったのかそのまま乗ったまま私の手に乗せている木苺を食べていた。


「しかしこのあたりに白蛇がいたでしょうか」

「ああ、何処から迷い込んだのか」


「これぞ旅は道ずれってやつですね！」

「若干意味が違いますよ」


こうして私の楽しいキノコ狩りが始まった。