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116.微笑む君主~王妃side

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二人の男女が華麗なステップを踏み、私は微笑みを浮かべる。


美味しいワインを楽しみながら今日は実に気分がいいわ。

「先帝陛下、こちらもどうぞ?」

「王妃陛下、貴女は随分と酒豪だな」

「嫌ですわ、先帝陛下には勝てませんわ」


ワインが進む私は既に五本はボトルを開けさせている。
それでもまだまだ行けるわ。

対する先帝陛下もブランデーを何本開けているか。
顔色一つ変えないのだからお互いに笊でしょうね?


「今夜は飲まなくては」

「そうだが…大丈夫か?」

「何ですの?」

少しばかり心配そうにされる先帝陛下。

「息子殿の事だ。心配する資格はながいがな」

「ええ、御心配には及びませんわ」

ああ、やっぱり優しい方。
ジークを苦しめた存在でもあるのに、ティエゴを心配してくださるなんて。


だけど、これは試練だわ。

「あの子はここから自分で這い上がらなくてはなりません。私は育て方を間違えました」

「正解はないだろうに」

「ええ、そうかもしれませんが」


私の手で育ててたとしても環境と状況で同じになっていたかもしれない。

だから今は見守るしかない。

「あんな真似をしたのです。私は手を出せません…後は自分で這い上がるしかないのです」

「手厳しいな」

「王族の勤めを放棄し、流された結果です。あの子には対価を支払わさせなければ」


傍にいた者が悪いなんて理由にできない。
例え周りに甘い言葉をいう者がいても、幼少期から厳しくも愛情を持って仕えた侍女やメイドも傍にいた。

なのに解雇したのはティエゴ自身。
彼等には私ができる限りの事をして、再就職先を望む者は紹介状を差し出し。


引退を望む者には退職金を渡したわ。


「ここから一人で頑張らなくてはなりません」

「そうか」


自由になりたいと言っていたけれど、その自由の為に多くの物を捨てなければならない。


今までどれだけの者に支えられ、守られて来たか知るべきだわ。


「私はジークベルトもティエゴも大事な息子です」


だからこそ、私は過去を反省して強く生きて欲しい。
もう二度とあの子を息子として呼ぶことは叶わないでしょうけど。


それでも願わずにいれない。

どんな馬鹿な子でも私はここで祈ろうと思う。


自分の罪を償いながら今度こそ幸せになって欲しいと思うのは傲慢かもしれないけれど。

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