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114.天使と悪魔の違い~ロゼッタside
しおりを挟む情け容赦のないルクシウスお兄様を批難する声はあれど、支持する声も多かった。
私をエスコートしてくださったルクシウスお兄様は眉を下げながら告げた。
「幻滅したかい?」
「お兄様…」
私とダンスを踊りながら告げるルクシウスお兄様。
「これが私のやり方だ。邪魔な者は徹底的に排除する。例え女子供でも容赦しない。王家であってもな」
「はい」
「君は私のようになる必要もない、ならなくても良い」
何故だろうか。
ルクシウスお兄様は自分から汚れ役を買って出ているように見えてならない。
「後悔しておいでですか」
「後悔するぐらいならしないさ。私が望んだ事だ」
「ルクシウスお兄様、私は…」
以前だったらルクシウスお兄様の行動は酷い、やり過ぎだと言えたけど。
もう昔の私じゃない。
過去の私と今の私は違うからはっきりと言える。
「優しいだけでは何も守れませんわ」
「ロゼッタ」
「私は数か月でありますが、人の闇を見ました。世の中には良い人間と悪い人間がいるのではありません。光と闇は紙一重」
人の心の中には善悪が存在している。
光と闇が常にあり、人は弱く欲望に支配され闇に負けてしまうのかもしれない。
「人の心には常に闇が存在しています。でも、その闇を照らしてくれる光がある…お兄様の光はお義父様なのですね」
「さぁ、どうかな」
はぐらかされたけど、きっとそうなのかもしなれない。
だって貴方がお義父様を見つめる視線はとても優しいものだったから。
嫌われ役を買うのもきっとお姉様を守りする為だって解るわ。
貴族派の多くを罰した事で恨みを買ってもきっと貴方は最後まで誰かに頼ることもない。
優しくて強い人。
そして誰よりも家族思いの情の厚い人だって解るから。
「ルクシウスお兄様」
「何かな?」
「貴方もお姉様も嘘つきですわ」
「貴族とは皆嘘つきだよ」
「そうですね」
人を傷つけない為の嘘。
誰かを守る嘘。
優しい嘘。
ルクシウスお兄様もお姉様も優しくないと嘘をつくけど、本当は違う。
誰よりも優しいのに、違うと嘘をつくんだから。
でも、私は知っているんだから。
二人がどれだけ優しいかを。
だから二人の為に知らない振りをする事にした。
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