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111.死神になった日~ルクシウスside
しおりを挟むずっとこの日を待ちわびて来た。
私はアルデンテ家の分家として本家のアルデンテ家を支えるべくこれまで奔走して来た。
強く優しく人望あぶれる伯父上。
私の憧れであったが、私の父は無能の癖に自意識過剰だった。
身の程を弁えない行為を行い戦場で戦死した後に家が傾きかけて、生活も立ち行かなくなるかと思った中、伯父上が資金援助を願い出てくれた。
現在アルデンテ侯爵家には跡継ぎがない。
王家に嫁いだ後に第二子を養子に迎えて跡継ぎにする事になっているがそれまで後見人を私に頼みたい。
その為にも援助させてほしいと言ってくれた伯父上だったがそんな物は建前だと言うことは知っていた。
私と母を守るためだ。
母上は伯父上の義従妹で、父が婿養子としてアルデンテ伯爵家に迎えられたのだ。
当初、私達の祖父母。
つまり伯父上の叔父夫婦に当たる二人が子供に恵まれないことから親族だった母を養女に迎えた後に、成人するまでの間伯父上が母の世話を焼いていたと聞く。
伯父上は母を溺愛していらしたそうで母も伯父上を慕ってた。
しかし、私の父は優秀なのに出世欲のない伯父上を見下し侯爵家の乗っ取りを考えていた。
その親族も同じで表向きは王族派でありながら貴族派と繋がっていた。
父が亡くなった当初も、貴族派と内通していた。
母は止めようにも体が弱く、止める手段がなかった。
だからこそ私に何度も言っていた。
「ルクシウス。よく聞きなさい」
「はい母上」
「私達は兄上…アルデンテ侯爵家を守る立場です。王族が万一アルデンテ侯爵家、そしてアリスティアに危害を加えるならば敵です。例え夫の親族を敵に回したとしても」
「はい」
「私達は兄上の恩情により今の暮らしがあるのです。その恩を忘れる事は許しません」
体の弱い母だった。
だけぢ聡明な人だった。
親族の言いなりになりながらも使用人を見極め、あえて従順な振りをしながらも情報を仕入れたり。
貴族派の動向を探らせたりとできる事をしていた。
親族が我が家の資金を勝手に使い込もうとしているのも知ってた。
だからこそ使い込まれ前に対策を考えていたのだ。
「貴方は汚れ仕事をしなくてはなりません。その覚悟はありますか?」
「はい」
伯父上を、アリスティアを。
そして領民を守るのに今さら何をおっしゃるのか。
既にこの身を捧げる覚悟はあったのだから。
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