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106.処遇
しおりを挟む王弟殿下は失脚し、辺境地の南部に送られる。
裁判はするまでもないが表向き理由必要になり、それに伴い彼に従っていた貴族達も向きではいられないだろう。
特に彼と繋がりの強い貴族派は一気に権力を失う事になった。
「お前はそのまま辺境地にて静かに暮らすが良い」
「待ってください…そんな!」
「ジュデッカの親族と共に協力して静かに生きるが良い。国政とも関係ない場所でな。お前が望んでいた自由だ」
ずっと自由になりたいと言おっしゃっていた。
でも、平民達の生活は自由があってもリスクがある事を知らない。
「ティエゴ様、私達は貴方が思う程自由ではないのですよ」
「ロゼッタ…」
「平民であっても親に決められた相手と結婚を強いられたり、貧しい家族を養う為に嫁いだりもします。自由な恋をできる人もいますが、その日生きるのに精いっぱいです」
私達は裕福な生活しか知らない。
だからこそ、ロゼッタの言葉には説得力に重みがある。
「私を見て、本当に自由だと思えましたか」
「僕は…」
「私から言えるのはそれだけです」
これ以上話す必要ないと何も言わなくなる代わりにルクシウスがロゼッタの肩を抱く。
「私達貴族は自由に人を愛することは難しい。だがその代わりに裕福な生活があります。なんの対価もなしにすべてを得る事などありえない…そんなのはタダの甘えだ。貴女は恋の為に十年支えた婚約者を捨てた。その報いでしょう」
「待ってくれた…なら」
「それから、婚約破棄を破棄なんて愚かで情けない事を言わ事しませんよティエゴ殿?」
既に様付けでも殿下とも呼ばなかった。
「それとも貴方はアルデンテ家の分家である私に命令するおつもりですか?爵位を持たない無一文の貴方が?」
「無一文…」
「だってそうでしょう?ジュデッカ殿は罪人として囚われお家は取り潰し。奥方の実家は貧しい子爵家なのですからねぇ?これからは田舎で畑を耕して過ごすのですよね?良かったですね、自由に気兼ねなく過ごせますよ…寒さに震えながらですが」
(((えぐい!)))
この時誰もが思った。
これまで何不自由なく贅沢な暮らしをしていた元王子に容赦がない。
自業自得とは言え、これから厳しい現実に直面するのに、その前に恐怖心を植え付けようとしているのだから恐ろしくて仕方ない。
とは言え口を挟むことはできなかった。
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