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92.冷酷な王妃として~王妃side

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もう、どうにもならないわ。
私は母である前に国母としての責務を優先させた。


きっと、親としては最低なのでしょうね。


だけど、愛情がないわけじゃない。
陛下も、ジュデッカの元に養子に出すのは親心。


「待ってください、どうか…あんまりではありませんか!」

なのに気づきもしない。
このまま廃嫡しても王宮内に留めおけばどうなるか。

除籍して、貴族として生きていくとしても貴族派が利用する可能性が出るだろうし。

逆もしかり。
王族派の貴族達が命を狙うでしょう。


「では、平民として生きていくか?元王太子など追剥の対象だ。敵対する国から狙われ売り飛ばされるだろう」

「ですから…」

「既にエリシア嬢が立太子すればお前の命の保証はないだろう」

「何故です!」


そんなことも解らないなんて。
普通に考えれば解る事なのに、頭が痛いわ。

「当然だろう?お前が王位継承権を返上してもその気があると思うだろう。口だけでは何とでも言えるからな」

「兄上はどうしてここまで厳し事を」

「俺が厳しいんじゃない。お前が甘すぎるんだ。さっきから黙って聞いてれば自分の事しか考えてないじゃないか。そんなお前に王子の勤め所か貴族の役目も果たせるか」


ジーク。
貴方はなんて立派に育ったのでしょう。

対する我が息子は。


「貴方もずっと叔父上を慕っていたでしょう?私の実家は嫌いだと言っていたではありませんか」

「それは、公爵家はあまりにも…」

「あまりにも厳しいと?私は幼少の頃から厳し教育を受けましたわ。いずれ国の為に敵国に嫁いでも生き延びれるようにと…毒殺されても、暗殺されもそこで死ぬなら自己責任だと教えられてね」


「そんな…」

「王族、公爵家、侯爵家はそれだけ責任が重いのです。特に領地持ちの貴族は領民の命も預かっているのです。今の貴方に領民の為に死ぬ覚悟はありますか、国の生贄になる覚悟は?」


あるはずもない。
ここまで言われて解らないのだから。


「反対意見のある者はお言いなさいな?この場で聞いて差し上げますわ」

私の言葉に誰も言葉を発しなかった。
まぁ、言えるわけがないわ。



「そして、ロゼッタ嬢」

「はい」

陛下が彼女に声をかける。
彼女の処遇に関してはまだ言い渡していなかった。


「そなたをアルデンテ侯爵家へ養子縁組する許可はしよう」

「ありがとうございます」

「そこで問題がまだ残っている」


そう、彼女が平民のままだったらこれで終わったけど。

もう一つ問題が残っていた。


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