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83.侮辱

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「何の冗談だ!」


怒りを露わにして感情を出すティエゴ様は気づきもしない。
離れた場所にいる王妃陛下と、国王陛下は私に視線を送り好きなようにしろと言ってくれた。


傍にいる王弟殿下は突然の事に何もできなかった。

アドリブに弱い人だから仕方ない。
あの方は決して優秀ではないし、野心家であるが一人では何もできない。

王妃陛下の策略により貴族派の勢力はかなり抑えられていると聞く。
ティエゴ様の後見人という立場も風前の灯のような物で立場も弱くなっている。


優秀な側近も傍にいなければ手出しもできない状況下で、悪化させるティエゴ様を止めたくてもdプしたらいいか解らないのだろう。


「何故そんなにお怒りなのです?ティエゴ様が望まれた事ではありませんか」

「何?」

「以前、貴方様はロゼッタの後見人を私に任せたいと。侯爵家の養子縁組を望まれたではありませんか」

「なっ!」


あの時の言葉を出せばティエゴ様は口ごもるしかなかった。

「あの時は私も精神的に余裕はありませんでしたし、公平な眼で彼女を見てない状況下ではお返事いたしかねました。ですが今ならば迎える体制が整ったのです」

「そう言う事だ」

「私は正式にジークベルト様の妻となるべく北の領地に嫁ぐ準備ができました。今後は領地に留まる故に私が彼女を迎えても問題はないと思いました」

「なっ…そんな!」


驚くことはないはずだわ。
ジークと結婚した後は北の領地を守るべく私の女主人として領地を守らなくてはならない。


「私が王都にいた状態でロゼッタを受け入れれば、彼女はどんなあしらいを受けるか解りません。ですが、私が結婚した後に共に王都を離れるのであれば傷つけることもありません」

「ロゼッタが領地を出る…何故」

「私はアルデンテ侯爵家の領地にてルクシウスお兄様の事業のお手伝いをするつもりです」


「馬鹿な事を!」


ロゼッタの言葉が信じられないと言いたげだった。
話しを聞かずに否定するばかりだった。


「馬鹿とは何故です?」

「君にできるはずがないだろう。君は貴族じゃない。貴族になれない」

「何故そんなことをおっしゃるのですか…私は侯爵家でこれから学んで行こうと思ったのに」

「君は僕がいないと何もできない。できるはずがない」


この言葉に流石に言い過ぎだと思った中立側の貴族は眉を顰めた。

下級貴族や伯爵貴族内までは、生まれが平民である令嬢、子息は少なくない。
平民から貴族となり教育を受けるのは何も子供だけではないのだから。

その後にどうなるかは本人の努力次第なのだ。

それを無理だと決めつける事は、養子として迎えられ貴族として生きる彼らを侮辱する行為以外の何物でもない。


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