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74.面会

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手続きを大急ぎで行い、ロゼッタを我が家で迎える事にした。
勿論、ご両親の許可を取らなくてはならないのでどう説得するかと悩むジーク。


「さて、どうやって説得するんだ」

「正直に話しますわ」

「大丈夫か?」


普通に考えれば私は彼等から良く思われていないかもしれない。
社交界では私はロゼッタにとっては恋を邪魔する女だと位置づけになっている。

「ロマンス小説で言う、ヒロインの悪役令嬢ですものね?」

「おい、笑い事じゃないだろ」


笑っていられる程に余裕を持てるようになったわ。
今後何を言われても動じないでいられるようになったのだからもう大丈夫よ。


「多少の罵倒と批難はされても平気ですわ」

「罵倒はしないだろうが…」


だとしてもティエゴ様の元婚約者という肩書故に警戒心を持たれるのは仕方ないかもしれない。

「お得意の交渉術はどうした」

「私は誠意を持って接してくれる方に誠意を持ちますわ。政治ではないのだから」


ロゼッタは私に誠意を持って接し、心から自分の非を詫びたのだから。


ならば私もその思いに応え、ご両親に正直に話すべきだわ。



多少の恨みぐらい買おうと覚悟をしていたのだけど。



「この度は誠に申し訳ありませんでした!」

「我が娘が無礼を!」



いざ、面会をしたら土下座をされてしまった。


「あっ…あの」

「身の程を弁えず、うちの娘が無礼な行いを行い、お嬢様にはどれ程の事をしてしまったか」

「にもかかわらず、このような慈悲を!」


何故かしら。
怯えを感じない、恨みもなくば。

あるのは申し訳なさと…なんというか。



「どうか頭をお上げくださいませ。私にも非はございますし…平民の彼女は王太子殿下に意見ができないのは当然です。何より彼女も無しらなかったのです。悪意もなかったのですから」

「ああ、なんと慈悲深いお心を」

「もったなきお言葉」


そして何故かお祈りをされてしまった。


「お父様、これは?」

「ああ、見ての通りだ」


表情を崩さないお父様は何かしたのね?


「私は少しばかり事情を話しただけだ」


その少しが気になる所だけど。


「お二人共にも辛い思いをさせて、このような事を申し上げあるのは酷かと思いますが、ロゼッタさんを我が家にお迎えする許可をいただけますでしょうか」


「それは…もう!」


「よろしくお願いします!」


あっさりと許可が出てしまってトントン拍子で養子縁組の手続きが叶ったのだった。


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