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71.計画~リィナside
しおりを挟む本当に頭の悪い男。
邸にて私がわざと火傷を負った後にもあの男は図々しくも侯爵家に訪れるも、私に乱暴した噂はその日の内に出回った。
偶然にも商人が出入りしている日でもあり、お抱えの仕立て屋が旦那様の服の手直しに来ていたのが幸いだった。
彼等は直ぐに、私が乱暴されたことを知った。
噂を流そうとはしなかったけど、不信感を持ったのは確かだ。
後は色々と匂わせる態度を取れば簡単だったわ。
実際火傷を負ったのは本当だし嘘はついていない。
少しばかり大げさになるように仕組んだし、ティエゴ殿下の前で少しばかり演技をしたけど。
これまで信頼できる側近だと信じて疑わなかったようだけど。
ここからジワジワ攻めさせてもらう。
ティエゴ殿下にも恨みはあるけど、一番許せないのはあの男。
王弟殿下の指金であれど、ここまで馬鹿な計画をしたのは独断と知らされた。
ならば相応しい舞台を用意してあげるわ。
「リィナ、顔つきが悪人だ」
「あら、その悪人を妻に娶る旦那様は何になるのかしら?」
「はぁー…」
基本、気真面目なエデンは私の振る舞いに頭を抱える。
「何も君がしなくてもいいだろう?火傷を負ってまで」
「ある程度の前科を追加しなくてはなりません」
「ならば私がする」
エデンの誇りを汚すわけには行かない。
何より許せないのだから。
「あの男如きのため、貴方が侮辱されるのは耐えがたいですわ。それに騎士の端くれが女性に手を上げたと言う事実が必要なのです」
王宮内には、今でも騎士道を第一と考える貴族の方々がいる。
特に先代国王陛下から信頼のある辺境伯爵様や女伯爵様に子爵様等は中立派でご意見番を仰せつかっている。
彼は共に王族派と貴族派に別れていながらも国の安泰を望む穏健派だった。
だからこそ不正を許さず、違法行為も見逃さないのだ。
「あの場に皆様がいて好都合でしたわ」
「都合良すぎないか?」
勿論事前に調査していたけど、絶妙なタイミングだったわ。
「謹慎処分になってくれたおかげで、次の行動の手配ができました。恐らく謹慎が解けらたらあの恥知らずはティエゴ殿下に進言するはずです」
「だろうな。アリスティア様を迎えに行かせてほしいとな」
「ですが、船の手配に出向の準備にお忍びで行くにも二週間の準備期間が必要になります。その期間を引き延ばして遠回りして隣国の海に行くように仕組みます」
「徹底しているな」
当然ですわ。
ティエゴ様のお立場では隣国に行くことはできない。
ならば使者が代わりに行くはず。
あの男がこのチャンスを逃すはずはないと踏んだのだ。
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