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68.門前払い~エドガーside

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アルデンテ侯爵は私達に行先を告げる事はなかった。
邸に面会を許された時も思ったが使用人の態度はまるでなっていなかった。

それにあの侍女。

私達に対する態度があまりにも酷いと思ったが。


「ティエゴ殿下、もう一度アルデンテ侯爵に訴えるべきでは…あの侍女にも」

「エドガー、邸の出入りはしばらく控えなくてはならない。侍女に怪我をさせてしまったのだから。彼女が君を帯びているそうだ」

「は?」

何を言っているんだ。
今は一刻も早くアルデンテ家に向かい、ティア様を連れ戻してもらわないと。


「不慮の事故であれ、未婚の女性に大火傷を負わせてしまったんだ。君も彼女に誠心誠意謝らないと」

「ですが!そんなこと…」

「そんなこと?彼女はまだ結婚前なんだぞ?」

ティエゴ殿下は私に対して疑念を抱き始めた。
思えばこの方は温室育ちであるが常に女性には対しては紳士的に振舞うようにと言われていた。

それがここで厄介な事になるとは。


「アルデンテ侯爵家の侍女である以前に、一人の女性を傷つてしまった。しばらくはアルデンテ家に行くのは控えよう。しばらくすれば侯爵も王宮に来て事情を説明してくれるだろう」


何を呑気な事を言っているんだ。
こうしている間にも私のティア様がどんな目に合っているか!


「しかしティア様はジークベルト様とご一緒なのですよ!」

「確かに心配はあれど、彼女は侯爵令嬢で、私の元婚約者だった女性だ。無体な真似はしないだろう」


どうしてこうも呑気なんだ。
普通に考えて、あの男がこのままティア様を手籠めにする事が解りきっている!


「今はアルデンテ侯爵家に行くことはできない。まずは侍女に怪我を負わせたのだからしっかりと謝罪をして、落ち着いてからにしよう…いいね?」

「かしこまりました」


この方に任せていてはダメだ。
私が独断で動くしかないと思ったが、身分的な差が大きすぎる故にできる事は少なかった。


王宮にてアルデンテ侯爵と会う事は合っても私から声をかけることはできない。


そんな中、偶然にもあの侍女のお茶会に参加しているのを目にした。


「そこの者、君はあの時の侍女だったな」

「…はい」


突然声をかけられたからなのか。
それとも私に対して警戒心を抱いているのか解らないが、好意的ではないのは確かだった。


「彼女に何の御用です」

「モーリス卿、貴方には関係ない事です」


こんな時まで邪魔しにくるとは、本当に目障りな男だな!

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