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32.私の居場所~ロゼッタside③

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院長先生の話によると、貴族の馬車が細い道をスピードを上げて進んだ所為で。お父さんは馬車に撥ねられたらしい。


幸いにも一命は取り留めたが、病院に長期入院しなくてはならない。


けれど、家にはそんなお金がなく。
しかもお父さんは過労とストレスにより体を酷使していたらしい。


結局薬を買うのが精いっぱいで、私は泣くしかできなかった。



何故こんなことになってしまったの?

貧しくても幸せだったのに。



夜遅く私は眠ることができずに目が覚め、お水を飲みに行こうとした時にお父さんの部屋に灯がついているのに気づいた。


話し声が聞こえていたのでお母さんがいるのだと思い、私も部屋に入ろうとノックをしようとした。



でも、できなかった。


「もう、これ以上は無理だ」

「ええ、そうね」

「今までの仕入れ先からは全て野菜も、魚も肉も卸すのを断られていた。頼れる場所は全て当たったが無理だ。せめてもと思い、夜の仕事を増やしたが…」

「この体では無理よ」


仕入れ先から断られた?

どういうことなの!


「町からの立ち退くように遠回しに言われている…もう店を閉じるしかない」

「貴方…」

「次は本当に殺すと言う警告かもしれない。貴族様の」


ドクン!


お父さんの言葉に私は動けなくなった。


部屋に入る事もできずに立ち尽くす。


貴族様の所為?


もしかして!


「俺が数日前に怪我をした時、故意ではないかと思った。確信はなかったが…なんとなく」

「やはりロゼッタと懇意にしておられる方ね」

――私の所為?


院長先生の言葉が響く。

ティエゴ様と会い続けらることで周りの人が傷つく。


私ではなく私の愛する人が傷つくなんて!




何一つ知らなかった。


知らなかったんんじゃなくて知ろうと知ろうとしなかった。


院長先生に忠告されても大丈夫だと思っていた。


その結果、お父さんとお母さんを苦しめてしまった。


でも、ティエゴ様と会えなくなるのは嫌だ。


どうしたらいいの…。


どうしたら!


答えが見つからないままその日は眠ることができなくなり。


数日後の事だった。

「お母さん?」


ガシャン!


物音が聞こえた。


「オデット!しっかりしろ!」

お父さんの声が聞こえ私は急いで声のする方に向かうと真っ青な表情でお母さんは倒れていた。


「ロゼッタ!急いで母さんを運んで…うっ!」

「お父さん!」


松葉杖を使ってようやく歩けるようになったお父さんだけど手を満足に仕えない状態でお母さんを運ぶことはできなかった。


私は人を呼ぶために近所の人に声をかけに向かった。


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