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31.私の居場所~ロゼッタside②

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院長先生の忠告を受けてからも私は隠れてティエゴ様と会う日々が続いた。

私達は何も悪い事をしていない。
だから大丈夫だと言い聞かせていたけど、不安は消えないでいた。



院長先生は優しく聡明な方で、他人を傷つける事を言わない人だった。

だから意地悪で私に酷い事は言わない。


解っていたのに。


私は、簡単に考えすぎていたのだ。



「ただいまお母さん」

「お帰り」

「お母さん?」


買い物から帰るとお母さんの顔色が真っ青だった。

「どうしたの?顔色が真っ青よ?」

「何でもないわ。大丈夫よ…今日はお客さんも少ないから店を閉めるわ」

「え?でも…」

「もうすぐお父さんも帰って来るから」


「うん」


何時もなら、少しぐらいお客さんの出入りが少なくても早くお店を閉めるなんて言わなかったのにどうしたんだろう?


「ただいま」

「お帰りなさい」

「遅かったねお父さん」

「ああ、仕入れ先でトラブルがあってな」


疲れ切った表情をするお父さんは足を引きずっていた。


「お父さん、どうしたの?」

「ああ、出先で乱暴な馬車がぶつかって来そうになってな?咄嗟に避けたんだが…足を挫いたんだ」

「病院には行ったの…なんだったら今から」

「大丈夫だ。打ち身だけだから」

お母さんの心配を他所にお父さんは傷の手当はしていると言って笑みを浮かべながら食事はせずにお酒を飲んでそのまま眠った。


そして私は起きる頃にはお父さんは家を出ていなかった。

「お母さん?どうしてスープしか飲まないの?」

「最近太って服がきついのよダイエットよ」

「え?そんなことないのに」

裕福ではないけど、朝食にはサラダにパンにオムレツが食卓に並んでいたのに、今朝の食事は黒パンと野菜のスープに簡単なサラダだけだった。


その日からだった。
お母さんは食べる量を減らす様になり、店の営業時間を短縮するようになったのは。

それだけじゃない。
服も毎日同じようなのを着たり、古着を縫い合わせて着たり。

薪も山に行って拾いに行く事が多くなり。
お父さんはお客さんが少なくなったので、他の仕事もするようになった。


今までお客さんは沢山来てくれていたのに。
日に日に常連客の人は来なくなり、町で顔を合わせても私を見て視線を逸らせたり、声をかければ逃げて行くようになった。


「一体、どうして?」

私は今まで仲良くしてくれていた人達に避けられ悲しくなった。
友達も私を避けて、仕入れ先のおばさんも声をかけてもそっけなく。


私の周りの人が変わってしまった。


環境が変わり出して二週間後。


「ロゼッタ!大変です!」

「院長先生?」

「貴女のお父様が!」


何も知らなかった私はこの時現実を突きつけられたのだった。


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