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24.留守中の騒動~侯爵side②
しおりを挟む約束も無しに尋ねて来るのは今までは許された。
だが、もう赤の他人で関係はない。
「旦那様、追い出しましょうか」
「言って聞くはずがないだろうが」
リィナの事だから強引に追い返すだろうが、自分の都合のいいように解釈するのだろう。
「だが、持て成す必要はない」
「かしこまりました」
長居させる気はないので茶は出すが、早々にお帰り頂く気だ。
使用人達にも普段使っている客間に通さず狭い部屋に案内するように告げておいた。
「お待たせしました」
「いいや、しかしここは」
「申し訳ありません。私も出なくてはならず…」
普段案内している客間ではなく狭い客間に通されたことに疑問を抱いたのだろうが、既に客ではないのだ。
「何か大事な用事でもあるのか?」
「はい、娘の婚約解消の手続きが終わったので今度はジークベルト殿下との婚約式の準備です」
「そのこと何だか…あれは」
「本当に安心しました。殿下のご配慮に痛み入ります。あのよう場を設けてくださるとは」
ティエゴ殿下は予想しなかっただろうが、既に公の場で婚約を発表し、お膳立てをしたのがティエゴ殿下と言う事になっている。
その事実は変わらないでの利用するだけだ。
「結婚後は王都を離れ辺境地に住居を構えることになります。その準備も必要ですので」
「辺境地に!」
「何も驚かされるのですか?ジークベルト殿下は辺境伯爵の地位を賜っておられますのですから当然ではありませんか、今後は社交界に顔を出す事は少なくなりますが…娘にはきちんと教育をしておりますので」
「待てアルデンテ侯爵!ティアは…」
「これもすべてティエゴ殿下のおかげですわ。真実の愛の為に政略結婚を反対してくださったおかげでお嬢様は本当に愛する方と結ばれたのですから」
「なっ…」
リィナが口を挟み、笑顔を浮かべる。
「お嬢様は王太子妃候補でしたので伯爵以下の殿方では釣り合いませんし、他の男性ではお相手は難しいですもの。ですがジークベルト様なら申し分ありませんわ。本当にようございました」
隣であたかも、メディス伯爵如きでは釣り合わないと言いたげなだな。
冷静を保ちながらもバレバレだ。
「ですが、アリスティア嬢のお気持ちは解りません」
「エドガー!」
「私はこのような無理強いはどうかと」
良く言えたものだ。
公の場で無理矢理婚約を発表してティアを侮辱しようとしておきながら。
「メディス伯爵は私が無理強いをしていると言いたいのか」
「そのような…」
「すべては娘の意志。そしてこれは神が定めた運命だ」
私は運命という言葉は好きではないが、こうなるべくしてこうなったと思っている。
「ティエゴ殿下もそうお思いでしょう?」
「私は…」
「なんせ貴方様がお膳立てをしてくださったのですから。その好意をありがたくいただきます」
口ごもるティエゴ殿下。
メディス伯爵との婚約をさせたいのだろうが許すわけがない。
ティエゴ殿下が望んだと言う事を念押しにする。
顔を見れば震えているが、この程度で怯むのでは王宮ではやっていけない。
今までティアがフォローしていたのだから無理だろうがな。
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