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5.王妃陛下とお茶会

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翌日、お父様は後から舞踏会に参加することになり。
私は昼前に王宮に王妃陛下のお茶会に呼ばれているので早めに邸を出ることになった。


昨日は強気な事を言ったけど、憂鬱だわ。
王妃陛下には良くしていただいたので会うのが辛かった。


早くに母を亡くした私を可愛がってくださったのに、ご期待に応えることができなかった。


呼ばれたお茶会は王族と限られた者だけが入る事を許された薔薇園だった。


「待っていましたよアリスティア」

「王妃陛下。ご機嫌麗しゅうございます」

私はちゃんと普段通りに笑顔を作れているだろうか。


「この度は急にお呼びしてごめんなさいね。体調が悪いと聞いていたのだけど…もう良くなったのかしら?」

「はい」

「本当は日を改めても良かったのだけど。貴女がどうしてもと今日の舞踏会に参加させてほしいと聞いて」

――は?
参加したいなんて誰が言ったの?

「今日の舞踏会の前に例のあの子に会いたいなんて…」

「申し訳ありません王妃陛下。私は昨日に舞踏会に参加するようにとしか」

「…そう。ティエゴが先走ったのね」

重いため息をついた王妃陛下の表情は芳しくなかった。
恐らく殿下が勝手に勘違い…というか、勝手な事をおっしゃったのね。


「私も貴女との婚約解消を聞かされたのは昨日なの」

「え…それは」

まさか、勝手に何もかも話を進めてしまっているの?

「貴女には申し訳ない事をしたわ。できる限り噂が広がらないようにしたいけど」

「人の口に戸は立てらません。そして人の心を鎖で縛りつけることも」

「アリスティア…」

既に、噂を消すことは不可能だった。
私が感情的になれば状況は最悪な方に進むだろう。

「私は十年の歳月で愛を育むことできませんでした。感情よりも先に理性で動いてしまうのです」

今回の事も、さほど傷つきはしなかったのも義務感が強かったからなのかもしれない。

「殿下は真実の愛を見つけたと仰せでしたが、私にも真実の愛の素晴らしさを知って欲しいとおっしゃったのですが、どういう意味でしょうか」

「私も、ティエゴが妙な事を口走っていたのよ」

王妃陛下も頭を抱えながら、殿下が何をしようとされているのか不安を抱く中。


「母上、アリスティア!」


後方から声が聞こえ、殿下と少女が入っ来た。


「ティエゴ」

「二人共、揃っていて丁度良かった」

悪びれもせずに現れた殿下は側近のメディス伯爵を従えていた。
隣で手を引かれているのが、例の少女なのかもしれない。


「ティエゴ、ここを何処と思っているの。護衛であっても庭園内に勝手に入らせるなんて」

「大丈夫です母上、気になさらないでください」


いや、気にするのは殿下ですよね。
王妃陛下が冷たい目で見ているのを理解していないのかしら?

殿下が命じたと言えど側近で護衛騎士のメディス伯爵は何故止めなかったのか疑問だわ。



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