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第三章

48幕引き

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その後ランドルフは騎士達に連行されて行った。
下町とは言え騎士が定期的に巡回しているので騒ぎを聞きつけたのだ。


「待て!俺は…」

「また貴様か!ランドルフ」

「何度騒ぎを起こせば気が済むんだ。余罪もある…観念しろ!」


力づくで抑えつけられ拘束される。


「よろしいですね?」


「ああ、この男はこの町の恩人であるカナリア様に暴行を働きました」

「そんな料理長!」


実際未遂であるが、暴行未遂をしていたのは事実だ。


「証拠ならあるわよ」

客の一人が写真を見せる。


「なっ…」

そこにいたのはアイーシャだった。

「こんな場所でスクープが取れるとは思わなかったわ。レストランカンパネラで騒ぎを起こした男で見出しは決まりかしら?」

「アイーシャさん、これではインパクトが足りません」


しかも隣に座っていたのはかつてランドルフとエミリーの結婚式に参列し面白おかしく記事を書いた新人記者だった。


「貴様!」

「本当に馬鹿な男。ここはレストランよ?沢山の商人もいるのに馬鹿じゃないの」


「ああああ!」

暴れまわるランドルフだったが複数の騎士に押さえつけられて抵抗できるはずもない。


「騎士の皆様、証拠写真を提供します。彼は隣国の王弟殿下の妃に暴行、暴言を吐き続け、宰相補佐である方にも敵意を向けましたわ」


「これって大問題になりますわよね?大罪人にね?」

不敵に微笑む二人は美しいがランドルフにとっては悪魔のように見えた。


「やっ…止めろ!」

「嫌よ。何で最低浮気屑男の指図を受けないとダメなの」

「シェンナ、止めなさい。話すだけ無駄だよ」

アイーシャは冷めた目でランドルフを睨む。


「いいのか!こんな騒ぎを起こして…この店の評判にも関わる」

「は?」

「真実を書くのが君達の仕事だろう…カナリアの暴挙が明るみになれば!」


ランドルフはこのまま自分だけ破滅するなんて許せない。
ならば少しでもカナリアの評価を下げで貶めようとも考えた。


(このままにするものか!)


浅はかな考えが過った。
この場にいる客が見ている場でカナリアの狼藉が明るみに出ればよいと思った。



しかし、ランドルフの期待は見事に破られることになる。



「貴方、しばらく見ない内に馬鹿になりましたわね」

「は?」

「私がそんな失態を犯すと?」


カナリアが心底呆れた表情を告げたと同時にすべての種明かしをされることとなる。



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