上 下
91 / 115
第三章

30不採用の連続

しおりを挟む






最初から商会の事務や、小奇麗な仕事ばかり選んでいたのが仇となった。
最初はレベルを抑えて軽作業から選ぶものなのだが、ランドルフは自分のプライドが邪魔して、職人の仕事は除外して肉体労働も嫌がった。


その所為である貴族のお邸で従者を任されるも。


その従者と言うのは訳ありのお嬢様の従者をさせられていた。

「馬になりなさい!」

「は?」

「聞こえないの?馬よ…う・ま!」

「いいえ、聞こえています。何故」

「いいからなれといったのよ!」


男爵家のご令嬢の世話係をすることになったのがだ、我儘過ぎて使用人がすぐ辞めるような家だった。
ランドルフにも無理難題を押し付ける日々が続くも元貴族の誇りが邪魔をして素直に聞く事は出来なかった。


「ちょっと聞いているの!この鈍間!」

傍にあるぬいぐるみを投げられカチンとくる。


「止めろ!」

「うっ…うわぁぁぁん!お父様!」

相手はまだ幼い令嬢だった。
怒鳴られて睨まれ癇癪を起こし泣き出す。

しかも投げられたぬいぐるみを床に叩きつけた事で破れてしまった。



「何をしているんです!」

「メイド長、僕は…」

「お嬢様を泣かせるとは何事です!」

「ですが、この子が!」

「この子?主に向かってなんて無礼な!しかも指を差すのではありません・・・貴方は誰のおかけでこの邸にいられると思っているのです」

「この男、私のぬいぎるみを叩きつけて睨んで怒鳴ったの!怖いわ」

「なっ!」

怒鳴ってぬいぐるみを叩きつけたのは事実だが、含みのある言い方だった。


「なんて乱暴なのでしょう。お嬢様を怯えさせる等…元は貴族と聞いてましたが振る舞いが貴族には見えませんわ。貴方は解雇です」



ランドルフはその日の給金を貰う事無く邸から放り出され、再び職業紹介所に戻る事になるが、貴族の邸でご令嬢に暴力を振るったという不名誉な噂が流れ、貴族だけでなく平民の裕福な家でも雇ってもらえなくなった。


「もう後は紹介できる所はないぞ」

「もっと僕に相応しい仕事があるだろ?」

「はぁー…」


自分を過信しているランドルフに他の職員も頭を抱えている。


「一応あるにはある。飲食店で空きが一つある」

「飲食店?」

「まぁ、お前の働き次第では給仕係にもなれるだろう」

「ではそれで!」


今度こそと思っていた行った店が現在の職場だった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!

リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。 聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。 「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」 裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。 「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」 あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった! 、、、ただし責任は取っていただきますわよ? ◆◇◆◇◆◇ 誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。 100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。 更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。 また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。 更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな
恋愛
 私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。  病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。  まぁ、好きになさればよろしいわ。 私には関係ないことですから。

長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~

インバーターエアコン
恋愛
 王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。   ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。 「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」 「はい?」  叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。  王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。  (私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)  得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。  相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。

婚約破棄は結構ですけど

久保 倫
ファンタジー
「ロザリンド・メイア、お前との婚約を破棄する!」 私、ロザリンド・メイアは、クルス王太子に婚約破棄を宣告されました。 「商人の娘など、元々余の妃に相応しくないのだ!」 あーそうですね。 私だって王太子と婚約なんてしたくありませんわ。 本当は、お父様のように商売がしたいのです。 ですから婚約破棄は望むところですが、何故に婚約破棄できるのでしょう。 王太子から婚約破棄すれば、銀貨3万枚の支払いが発生します。 そんなお金、無いはずなのに。  

【完結】婚約破棄令嬢の仕立て屋ですが、完全に巻き添えをくいました。〜災い転じて服と成す、なんて上手いこと言ってる場合じゃない〜

福田 杜季
ファンタジー
『ファリノス伯爵家のエルミラ嬢、王立学院の卒業パーティーで婚約破棄される!』 ──そんな衝撃的なニュースが、彼女のウエディングドレスを作成していた仕立て屋・ニーナの耳に入る。 この事態を受けて伯爵家は、ウエディングドレスは必要なくなったからと代金を踏み倒す暴挙に出た。 その結果、金策に困り首が回らなくなったニーナは、ショックを受けて領地で療養中だというエルミラを訪ねたのだが── 「見てる分にはいいけど、着るとなると面倒よね、こういうドレスって。コルセットは殺す気かって感じだし、クリノリンなんか座ったときに足に食い込むし。アール・ヌーボーとか、アール・デコとか、その辺りのもっと簡素で着やすいドレスがよかったわ」 などと、お嬢様はよくわからないことをおっしゃっており── これは、婚約破棄のショックで前世の記憶を思い出した伯爵令嬢と仕立て屋が出逢い、社交界に一大ムーブメントを生み出す──的なお話である。 ※さっくり終わらせます。前中後編の三部構成です⋯⋯と言いながら、①とか②とか、数字がついちゃう詐欺です。 ※ゆるふわ設定で、思いついたままに勢いで突っ走ります。ちなみに作者は西洋服飾史や近現代の服装にまったく詳しくありません。にわか知識です。

わたしを追い出した人達が、今更何の御用ですか?

柚木ゆず
恋愛
 ランファーズ子爵令嬢、エミリー。彼女は我が儘な妹マリオンとマリオンを溺愛する両親の理不尽な怒りを買い、お屋敷から追い出されてしまいました。  自分の思い通りになってマリオンは喜び、両親はそんなマリオンを見て嬉しそうにしていましたが――。  マリオン達は、まだ知りません。  それから僅か1か月後に、エミリーの追放を激しく後悔する羽目になることを。お屋敷に戻って来て欲しいと、エミリーに懇願しないといけなくなってしまうことを――。

処理中です...