上 下
86 / 115
第三章

25糸を引いたもの

しおりを挟む




「やっぱり読みが当たったわね」


テーブルに並べれられた手紙の数々。
公爵家に出入りしていた商人が闇商人である事が解った。


秘密裏でやり取りをしている目撃情報に手紙を読みながら冷たい目をしていた。


「カナリア。手紙を握りつぶすんじゃない」

「本当に目障りな女…まだ懲りないのかしら」


これまで陰湿な嫌がらせをされて来たが倍にして仕返しをした。
公の場で手を出して来たけどあらかじめ布石を投じておいたので倍にして仕返しをして悪役に仕立て上げた。


これまでクリスティンの所為で苦しんでいた貴族も少なく無い。
身分至上主義で公爵令嬢である事を良い事にやりたい放題をする彼女に良い薬になれば良いと思った。


クリスティンの侍女を捕らえで洗いざらい吐かせ、ドレスを入れ替える事に成功したのだった。
侍女には何食わぬ顔でクリスティンの元に戻った後に寝返るように告げたのだが。


「あの方にしては知能的な方法を取りましたわ」

「カナリアを直接攻撃するようにするとはな」

クリスティンの考えは中々の物だったが、悪知恵だけは随分と働くと思ったカナリアは関心をしてしまうが。


「地位とお金があっても、使い道が間違っている」

「カナリア」


「既に隣国で動いていた愚か者は押さえました。オイシス家は身動きが取れないでしょうね」


クリスティンがライアンを援助する代わりに取引を持ち掛けていた。
ミリアを精神的に苦しめ、セリアを追い詰めていた。


「だけどクリスティン様は何も解ってない」

お金で、権力ですべて思い通りになるはずがない。


「セリア様はミリアを様をどれだけ慕っていたか」

「姉妹の絆を知らなかったんだろう」


血がつながらなくとも強い絆が生まれていた。

「血は水より濃しといいますが、その逆もありますわ」


二人は血の繋がった姉妹よりも強い絆を結んだ。
どんなに辛くとも自分の保身よりも姉、妹の事を思いやったのだから。


「これまで好き勝手したんだ。俺も出る所を出るつもりだ。準備はしていた」

「例の不正ですね」

「ああ、ようやく証拠を掴んだ」


シャーロット公爵家。
王族と遠縁となる公爵家だが、裏では不正を行っており現国王も警戒をしていた。

だが相手は公爵家故に簡単に手を出せなかった。
不正を行った物証を見つけるまで裁く事も出来ないし、高位貴族を捌くのは至難の業だったが。


今回のクリスティンの一件で物証を見つけることが叶ったのだ。
それに加えてこれまでカナリアに対する暴行や痛がらせ受けていたこともあるので全て突きつける事を考えていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

王子の転落 ~僕が婚約破棄した公爵令嬢は優秀で人望もあった~

今川幸乃
恋愛
ベルガルド王国の王子カールにはアシュリーという婚約者がいた。 しかしカールは自分より有能で周囲の評判もよく、常に自分の先回りをして世話をしてくるアシュリーのことを嫉妬していた。 そんな時、カールはカミラという伯爵令嬢と出会う。 彼女と過ごす時間はアシュリーと一緒の時間と違って楽しく、気楽だった。 こんな日々が続けばいいのに、と思ったカールはアシュリーとの婚約破棄を宣言する。 しかしアシュリーはカールが思っていた以上に優秀で、家臣や貴族たちの人望も高かった。 そのため、婚約破棄後にカールは思った以上の非難にさらされることになる。 ※王子視点多めの予定

処理中です...