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第三章

8アレーシャの決意①

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時は少し遡る事数時間前。
カナリアとエンディミオンが密かに色々調べている最中。


アレーシャも一人動いていた。


「ユリア」

「はい、やはりカナリア様は内々に動かれているようです」


「やっぱり」


ミリアが精神的に追い込まれて鬱状態になった事でアレーシャは直ぐに医師の手配をして背後関係を調べることにした。


そこでミリアを悩ませているのが妹のセリアだと言う事が解った。
アレーシャは義妹に虐げられた経験からもしかしたらと思ったが杞憂に終わった。


「ミリア様は隣国から来られてからも妹君と手紙のやり取りをされておりましたが…お二人の関係は良好の洋です。何度か贈り物が届いていたようで」

「そう…妹君とはトラブルは?」

「侍女の話では妹君は養女で、ミリア様は妹君を大変溺愛されていたとか…婚姻に関してはエスター様がミリア様を望まれたことを存じていたので身を引いたと」


「セリア様のお気持ちはどうだったのかしら」


当初決まっていた男爵家に嫁ぐはずが貧しい農家に嫁ぐことになったサステナル家。
今は生活も安定しており裕福であるが狭い領地では未だに偏った考え方が強かったのだった。


「セリア様は天真爛漫なお考えを持つ方なのですが…義父と夫であるお二人はミリア様を良く思っておられませんでした。嫁いでこられたセリア様を見下してたようです」


農家では嫁を奴隷のように扱う男も少なく無かった。


「馬鹿な事を」

「自分達が食べさせてやっていると思い込んだ典型的な男の考えです」


百姓貴族の中でもそう言った考え方が多く、妻や娘の人権はないに等しい。


「セリア様の旦那様にとってはミリアは…」

「劣等感を刺激する女性…嫌うでしょうね」


女性は常に男性の後ろを歩いているのが当然だと考える男の前にミリアのような女性は受け入れがたいだろう。
事あるごとにミリアの批判を行っていたが、セリアはミリアを庇っていた。


夫よりも姉を庇う妻を許せなかったのか、一時は文通でのやり取りも禁じていた程だった。


「いかがいたします」

「決まっているでしょう?ミリアの名誉を守りながらセリア様も守るわ」



アレーシャはこのまま引き下がる気はない。


「カナリア様お一人に任せる気はないわ」


「では…」

「こんな時にこそ動かなくてどうするの?私が行かなくては」


アレーシャの思いが強かった。


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