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第三章
6有言実行
しおりを挟むカナリアの発言に周りは頭を抱えた。
「それは…」
「調査なら私達が!カナリア様は侯爵夫人で王弟殿下のお妃ですし…」
婚約期間中ならまだ許されたが今は王族の仲間入りを果たしているので難しいのだが。
「私は宰相の妻ですわ」
「えっ…はい」
「宰相の妻たる者、常に陰で動かなくては…右腕となる方の奥方が危機ですのよ?」
カナリアの言っている事は解る。
しかし万一のことがあっては危険だと思っている侍女達は素直に首を縦に触れなかった。
「お聞きなさい皆」
「はい」
「私は大人しくしているだけの妻となる気はありません。宰相の妻とは外交をせねばなりません。国で大人しくしているなんて事はないのです」
「それは存じております」
だが今回は公に視察に行くわけではない。
国際問題が発展しているわけでないので、カナリアが引く必要はない。
「私は夫の右腕になるエスター様の奥方に期待しているのです。彼女が考案した不妊治療や女性の為の医療を充実させることは国の為になります」
「カナリア様!」
「解りますか?ミリア様をお救いする事は多くの女性の矜持を守る事にもなります。子ができず側妻を持つのを許さなくてはならない女性が何人いるか」
この場にいる侍女の中には子供が出来に体と言う理由で愛人を持つ夫に離縁された者もいる。
「アルソート夫妻を守る事は我が国の問題を一つ解決する事です。そして同時にいわれのない罪で裁かれるなんて許されるのですか?ようやくさづかった子を奪うなんて許されますか?」
カナリアの言葉に誰も反対はできなかった。
「申し訳ありません」
「私達が間違っておりました」
「私達はお供いたします!」
カナリアの侍女達は涙を流して同行を名乗り出た。
万一御身の危険を危惧していたが、カナリアの思いを知り傍で守る事を決意した。
「噂に関してですが、払拭するのは簡単ですわ」
「はい」
「弁護士を一人同行させます。それからミリア様が潔白である証拠品とこれまで陰湿な仕打ちを受けた証拠を突きつけてやるのです」
「はい!」
「セリア様の夫の本性がダメだったらその時は…解っていますね?」
「お任せを!」
侍女達にてきぱきと命じ、カナリアは徹底的に敵を潰すべく行動に出た。
「カナリア、噂には噂だが…ライアン夫人のは狂言だ。それを流し、尚且つ名誉棄損で訴えられるように準備をしよう」
「ありがとうございますエンディミオン様」
「余計だとは思ったが、既に手紙を出してある。面会の約束もしている」
流石と言うべきかエンディミオンも仕事が早く、早急にセリアに会う事が叶ったのだった。
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