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第三章

4ミリアの悩み

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鬱状態になったミリアは療養していた。


「ミリア、お茶にしましょう」

「お母様、セリアは…」


献身的な看護をするのはミリアの実母だった。
精神的に参っているミリアはベッドの中で隣国にいる妹のセリアの事を心配していた。


「大丈夫よ。セリアは…」

「ごめんなさいお母様」


謝るしかできないミリアはどう償えばいいか解らなかった。


妹であるセリアは養女だった。
事故で両親を亡くしてまだ乳飲み子だったセリアを両親が引き取り、ミリアはセリアを本当に可愛がっていた。


幼少期は体が弱かったミリアをセリアは気遣う優しい性格で、オイシス家との縁談が決まった当初、嫁ぐのはセリアだったが、エスターはミリアに好意を持っていたのに気づき、セリアは身を引いたのだ。


元より商人には向いていないセリアは快く二人の結婚を祝福したのだが、子供が出来にくい体と知った時セリアが行ってくれたのだ。


どうしても子供が出来なかったら自分の子を一人養子にしても良いと。
セリアはミリアがこれ以上泣く事がない様に養子縁組を提案してくれたのだった。


ミリアは泣きたくなった。
幼い頃から自分をあんなにも慕ってくれた。


だからこそ養子縁組は断った。
お腹を痛めて産んだ子供を奪うような事はしたくなかったし、これ以上セリアを苦しめたくないと思った。


対するセリアは子宝に恵まれながらも嫉妬心を抱く事が無かったのは二人が本当に仲の良い姉妹だったからだ。
ミリアが妊娠した時一番喜んでくれたのはセリアで、同時にオイシス家の事を怒ったのはセリアなのだから。


「私はあの子を苦しめて…」


「そんな風に考えてはダメよ。セリアは解っているわ…ただ狭い領地で偏った考えが多いのよ」


田舎であるがゆえに噂が直ぐに出回り、間違った噂を信じてミリアを悪者にしている村人は多かったがセリアはミリアの身の潔白を主張したが、立場が悪くなるセリア。

そしてセリアの夫はセリアを責め始め夫婦関係に亀裂が生じてしまった。


「セリアは冷静よ。むしろ噂に振り回される人間が馬鹿だと思っているわ」

「妹にまで迷惑をかけて…」

「ミリア…」


自分の事ならばどれだけ悪く言われても弱気にならなかったが、溺愛する妹を苦しめられれ平気でいられるほど冷酷ではなかった。


ミリアの心は晴れることが無かった。


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