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第二章

9召し上げ

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医学界において女性の出産は未だに軽視されている。
出産とは命がけであり、子供が出来るできないは女性側が悪いと考える方良かった考え方が今も根強くなっている。


ただ東洋の国では異なった考えを持っている。
子供が出来にくい女性とそうではない人がいるなら男性にも問題はあるのではないか。


過去に子供が出来ない事を女性側の所為にして子ができない女は不要だと身分の高い貴族は妻を下賜したのだが、数年後下賜された女性は子供を出産したという記述が多い。


偶然かと判断した医師は多い中、とある医師は以前から違和感を感じていた。
子を産むのは女性だが、女性だけが問題あるのはおかしいと。

男性側に問題はないのか。
何故子ができないのは女性の責任で、元気な子ではないのは女性。
全ての責任は女性側の責任になっている事に違和感を感じていたが、世は男尊女卑。
男性に問題があるなど誰も考えない。


その所為で間違った医療が当たり前となっていると。
そこで長らく子供を授からなかったある女性は最後の砦としてその医師に治験という条件付きで特別な施術を受けることにした。


その人物が――。



「カナリア様!」


「ご無沙汰しておりますミリア様」


元婚約者ランドルフの兄の妻ミリアだった。


「お待ちしておりましたエスター殿」

「こっ…この度は!」


頭を深々と下げるエスターとミリア。


「無理なお願いを聞いていただき感謝します」

「いいえ、身に余る光栄でございます。ですが私達は…」


エスターは今回勅命で手紙が来て早々にミリヤと共に隣国に来ることを決意した。


手紙には二人の才能を買いたいというもので困惑した。


「しかし私達に出来る事は…」

「いいえ、商人として優れていらっしゃるエスター様の力が是非必要なのです。そして医学の知識と芸術と政治に明るいミリア様にお力をお貸しいただきたいのです」


「私にできることならばなんなりと」


既に二人は勘当された後に王都を出てミリアの実家のアルソート家に身を寄せていた。
アルソート家の名のを名乗り、エスターは婿養子という形を取っている。



「ある仕事を成功させてくださるなら、見返りとして爵位をご用意します」

「いいえ、そのような!」

「私達はカナリア様の許されない事をしたのです。見返りは必要ありません」


せめてもの償いだというが。


「これは仕事だ。貴方達の罪悪は関係ない…仕事をする以上報酬は当然だ。ただし大変な仕事だ」


「かしこまりました」

「はい」


有無を言わせないエンディミオンの言葉に二人は頷かずにはいられなかった。
程なくして、二人はしばらく滞在しある計画に協力することになった。


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