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第二章
13黒く染まった聖女
しおりを挟む聖女から魔女になってしまったイライザを見てジュリエットは手が震えていた。
「そんな…どうして」
「聖女が魔女に…何という事を」
ジュリエットはイライザと対立関係にあったが、聖女になる事を誰よりも望み、見習い中はイライザも非lつぃだった事を覚えている。
聖女になって後にオルヴィスに認められるべく努力をしていた事も知っている。
「彼女が何故魔女に…聖女になる事を望み、オルヴィス殿下から望まれていたはずだわ」
「ジュリエット…それは君から見てではないか?」
「え?」
「本当にあの馬鹿王子はイライザを好いていたのか?」
「同感だ」
アルフレッドはオルヴィスがイライザを利用しているのではないかと思っていた。
確信はないし、調べて訳ではないがあの断罪事件の事を考えると体よく利用したに過ぎないと思ってた。
王宮に長く仕えていたレインもイライザがオルヴィスを好いているのは知っていたが、オルヴィスにその気持ちが少しでもあるのか?と言われればないと思った。
「ジュリエット、君は気づいていなかったのか」
「何がです?」
「ハァー…同情は出来ないが少し哀れだな」
レインはこれまでのオルヴィスの態度は歪んだ愛情だと察していたが、ジュリエットからすれば疎まれているとしか思っていなかった。
「愛しい女性に関心を持って欲しい子供の考えだ」
「え?」
「まぁ、誰もが好いた女性に優しくできるわけではないからな…中々靡かない君に業を煮やしたか?」
アルフレッドは嫉妬心を感じる事もなくさらりと言ってのけたのだが、いいのかと思うレインだった。
「言っておくが俺はあの馬鹿王子に一度も嫉妬心を抱いた事はない」
「そうか…」
嫉妬心を抱く程の相手ではなかったし、ジュリエットの関心はあの男にない。
むしろ嫌がっているジュリエットを無理矢理付きまとうオルヴィスを疎ましく思ったが。
「何故俺があんな自意識過剰、勘違い王子に劣等感を抱くか」
「とりあえず今はイライザの事を」
この際オルヴィスなんてどうでもよかった。
魔女となってしまったイライザを止めなくてはならない。
そして王宮に留まっている残りの聖女も気がかりであるが一番心配なのは。
「リアン様はご無事かしら」
「ああ、あの方は聡明だから慎重に動かれるだろうが…」
「使えない国王と王太子に魔女の出現。あの方の心労が目に見える」
三人はバイエルン王国で苦労しているであろうリアンを心配するのだった。
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