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第一章

17聖女達の会議

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ジュリエットが出国した報告をされてすぐ。



「どうするのよ!ジュリエットが本当に出て行くなんて」


「知らないわよ!何で止めなかったのよミーシャ!」


狭い談話室にて二人の聖女は醜い言い争いをしていた。


「私の所為にしないでよ。言い出したのは貴女でしょ」

「ハッ、良く言うわ。一番ジュリエットを邪魔に思っていた癖に」


今回の濡れ衣騒動は率先して動いたのはイライザであるが、ミーシャも賛同した。


「普段からジュリエットの影に隠れて泣きついている癖に酷い女ね。友達の振りをして裏ではジュリエットの妨害をしていたんでしょ?ジュリエッ宛てに届いた民からの手紙を燃やしていたんだもの」

「なっ…何で」

「私は貴女と違って偽令嬢じゃないのよ」

「くっ・・」


平民出身であるミーシャは貴族でなければ上流階級出身ではない。
子爵家とは言え資産家で裕福な貴族に生まれたイライザや他の侍女達も階級貴族ではあるが貴族としての誇りが高い事から差別的な事をされて来た。


礼儀作法や常識をしたなかった事で何度も馬鹿にされた。
そんな時に、何時も庇ってくれたのがジュリエットで、文字の読み書きも教えてくれたのがジュリエットだった。


傍目から見ても二人は仲の良い友人だった。


「本当はジュリエットをライバル視していたのに、本人は何とも思ってなかったものね」

「そんなこと…」

「ジュリエットが聖女筆頭になった事を妬んでいいたんでしょ?当の本人は望んでなかった…今回の断罪に関しても一番乗り気だったは貴女。今まであの女の信頼を失墜させるべく暗躍していた癖に」

「違うわ。私は少しだけ意地悪をしただけで…」

「いい子ぶっているんじゃないわよ。親友だと言いながら媚びを売った最低女が」


二人の言い合いはヒートアップする中唯一、静観しているルーアンが立ち上がる。


「くだらないわ。私は部屋に戻らせてもらうわ」

「は?何を…」

「低次元の子供の口論に付き合うなんて時間の無駄だわ」


本を閉じて立ち上がるルーアンは冷たい視線を向けていた。


「ちょっと!何自分だけ関係ない顔をしているのよ」

「実際、大聖女の座を狙ってくだらない争いをしていたのは誰?私は関係ないわ」

「そんな!逃げる気」

「あら?随分余裕ね」


ルーアンが他人事でいる事が許せなかったミーシャは声を荒げるも、ルーアンは冷ややかに笑った。


「結界の亀裂をどうにかしないと行けないのに」

「えっ…」

「私達に振り分けられた領地の守りができなければどうなるか」


四人の聖女優先して守らなくてはならない場所がある。
役目を果たさない聖女は必要なく、万一二人が民から支持される聖女を追い出したと知られればどうなるか。


「私は貴女達程無能じゃないから大丈夫だけど。どうなるかしら?」

不敵に微笑むルーアンの言葉に二人は背筋が凍るようだった。


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