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第一章
4戦場
しおりを挟む聖女は王宮や神殿に引きこもって祈るだけではない。
戦場で戦う騎士達の指揮を高めたり、負傷した騎士や、魔物に傷つけられた民の心に寄り添うのが勤めだった。
「聖女様!お逃げください!」
「瘴気が!」
魔物が放つ瘴気は時として人に害を与える。
聖女は結界を維持して穢れを跳ね返すが、少しでも触れたら命取りだった。
「皆さん下がってください」
「ジュリエット様!」
愛用の黄金の弓矢を取り出し、瘴気に狙いを定め矢を射貫く。
「すごい…あれが光の矢」
「女神が聖女様に与えられた武器」
聖女は祈るだけしか能がないと一部の貴族は言っているが、戦う術がある。
ジュリエットは戦えるようにと修業も強要され、幼少期は魔物の中に放り込まれたことがあった。
その時に命の危機を感じた際に体から聖なる弓矢が現れたのだ。
黄金の弓矢は人を傷つけることはない。
その昔悪魔を浄化する時に使われたとも言われているのだ。
「矢から光が…」
「未だ!魔物を一気に!」
「「「おおおお!」」」
負傷した騎士達は一瞬の隙を突いて襲って来る魔物を対峙する事が叶った。
「聖女様ありがとうございます」
「聖女さ…」
同行した騎士達がジュリエットにお礼を言おうとするもジュリエットは対峙した魔物に手を合わせていた。
例え人間に仇為す種族であっても死んでしまえば皆同じだで、祈りを捧げ浄化した。
「魔物が光に」
「聖女様の祈りで天に還って行く」
新たな命が巡るように、二度と人を襲わないように天に還れるように導くのも聖女の役目だった。
「俺達も祈るぞ」
「ああ…」
こうして東北の地を守る事ができ、帰国をする際中。
「聖女様ありがとうございます」
「いいえ。ですが、最近は結界の亀裂が多いですね」
「はい、ここ一年で魔物が暴れ初めまして」
東西南北に敷かれた結界の亀裂が日に日に大きくなっている。
(やっぱり…)
北の大地は被害が少ないが他の地は被害が大きくなりつつある。
「他の聖女様は現地に赴いてくださいません。特にイライザ様は…」
「このままだとどうなるのでしょうか」
「申し訳ありません」
何故イライザが現地にて結界を敷かないのか。
王宮や神殿に籠って祈るだけが聖女の仕事ではない事は伝えている。
(私の責任だわ)
聖女筆頭なんて言われながらも他の聖女を纏める力はなかった。
弱まった結界をジュリエットが補強している状態だが、一人で全ての結界を維持するのは体力も根気も必要だった。
「私が至らないばかりにこのような」
「ジュリエット様は何も悪くありません」
「そうです。本来ならここはジュリエット様の担当ではないのに」
ジュリエットが責任を感じる必要はないと思いながらも騎士達が最後に頼るのはジュリエットなのだった。
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