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番外編~その後の僕等
とある元公爵子息の末路⑧
しおりを挟む聖女であるリリーは基本は神殿にて修業をするか、王宮内の祈りの間にて修業をしていた。
神殿はどんな身分が高い者であっても許可が無ければ男子禁制だった。
許されたのは司祭や年配の聖職者ぐらいだった。
「何故リリーに会えないんだ」
「申し訳ありませんが神殿は男子禁制です。許されるのは聖職者のみです!」
「邪魔だ!」
神殿の決まり事なりキャルティは守るはずもなく。
「何をしているんですの?」
「アンジェリーク…」
「ここを何処と解っての行動ですか。神殿でこのような狼藉をするとは…今すぐ立ち去りなさい」
「ですが…」
「耳まで遠いのかしら?医師に診てもらう必要がありそうですわね」
冷たい視線で射貫くアンジェリークは女性騎士に命じてキャルティをつまみ出した。
「クソ!この俺を!」
公爵家に戻るとキャルティは荒れていた。
リリーに近づこうにも邪魔な障害が多いかった。
神殿ではキャルティが王族であっても安易に入る事はできない。
王宮内でも関わる時間は限られている。
(邪魔なあの女とリリーを引き離し尚且つ俺の傍に置く方法を考えなくては!)
聖女として修業に励むリリーは日に日に成長し、王宮に召し上げられた時よりも垢抜けている。
荒れた手は綺麗に整えられ艶のない髪も手入れがされ。
元から整った顔立ちで、磨けば美しい少女で、キャルティの好むタイプだった。
他の貴族令嬢のように自尊心が強くなく大人しいリリーにキャルティは好ましく思った。
最近は、キャルティの贈り物も受けとっているので好意は持たれていると思ったのだ。
(邪魔なのはオンディーヌだ。何とか引き離せれば…そうだ!あるではないか!)
キャルティは一番効率的な方法を考えた。
「おい!誰か…誰かいないか!」
邸内で声を上げる。
「お呼びでしょうか」
「すぐにオンディーヌを呼び出せ」
「オンディーヌ様はただいま…」
「早くしないか!このグズが!」
「きゃああ!」
直ぐに言う通りにしない侍女に苛立ち傍にあるカップに入っているお茶をかける。
「貴様らは俺の言う通りに動いていればいいのだ!」
「熱い…」
「早くしろ!汚い恰好でうろつくな。目障りだ!」
部屋から追い出し、その侍女はその日のうちに理不尽な解雇を言い渡されてしまった。
その後、侍女を見た者はいなかった。
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