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第三章集う光の使者
10残酷な言葉
しおりを挟む実行犯であるのはキャルティであるが他の側近も共犯者だった。
なのに一人だけ罪が格段に軽くされたのは、周りからも様々な噂が流れた。
「悪いが、私は忙しんだ」
「申し訳ありません…ですが」
「何だ?君の罪を軽くしたと同様に裏工作をして父君を救えと?」
「そうではなく!」
冷たい視線を向け、言葉にも棘があった。
かつては兄弟のように親しくしていたが、断罪事件の後にジルフォードは容赦が無くなった。
「君の父君は自ら責任を取った。迷惑な事だ…私は関りを持ちたくないのに」
「ならば何故私を…」
「勘違いするな。私は君に情けをかけたわけではない」
フェルリスの言葉を遮るように告げた。
(あのまま謹慎処分になるなんて許さない!)
ジルフォードはキャルティ以上にフェルリスを憎んでいた。
「王宮に残り罪を償わせるためだ。君は私を、そしてオンディーヌの思いを踏みにじり英雄気取りだったからだ。死罪に問うたとしても法で裁くことはできないからな」
「ならば…」
「私から罰を与えるのではなく、罪悪感で苦しみ、どれ程の事をしたか思い知ればいい。卑怯者の騎士として」
「ジルフォード様!」
「簡単に楽にさせない。王宮で悪意に苦しみ永遠に悔いるがいい…オンディーヌが巫女として役目を果たした後に国はオンディーヌを褒めたたえるだろう」
「どうかオンディーヌに合わせてください」
フェルリスはジルフォードに食い下がろうとする。
どんな裁きが待っていたとしてももう一度一目で良いから会いたいと願ったのだが…
「オンディーヌは試練が終われば嫁ぐことが決まっている」
「そんな…」
「相手はクロバー王国の第二王子殿下だ。既に王位継承権は返上しておられるが、追放になった後に傷ついたオンディーヌの心を癒した方だ」
既に王子ではないが、クローバー王国の第二王子の噂は耳にした事がある。
光の魔力の持ち主だと。
「そして勇者に選ばれた方だ。巫女として目覚めたオンディーヌは運命だったのだろうな」
「運命…」
「そうだ。オンディーヌが結ばれるのは君ではなかったのだよ」
「ジルフォード様!」
あんまりないい方だったがジルフォードは不敵に微笑む。
「そんなに会いたいなら結婚式当日に遠目から見れるようにしても良い。どの道、オンディーヌははこの国に帰ってくることはない。既にクローバー王国で生きるのだからな」
その場で崩れるフェルリスは二度と言葉を交わす事も名前を呼ぶことも変わらないと告げられた瞬間だった。
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