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第二章聖女と勇者と巫女

14お披露目の席

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前当主が若く問題もない状態で継承するという異例の事が起きながらもジルフォードは最年少で侯爵の地位を得ることになった。


周りは困惑する中、ジルフォードは堂々とした姿だった。


「まだお若いのご立派なお姿」

「ええ、妹君の事は痛々しいですわね」


第三勢力でどの派閥にも入ってない貴族達はジルフォードが継承に至った理由をなんとなく察していた。
パークアイ公爵家に振り回されたことに同情的だった。


「これはこれはクレイン侯爵、ごきげんよう」

「ごきげんよう」

「このような形で継承となるとは…何とも言えない気分ですな」


これ見よがしな言葉を放つ貴族派達はオンディーヌやオルフの事をチラつかせていた。


「まだまだ若輩者ながらも精進していきたいと思っております。祖父と父の意思を継ぎ、亡き妹の悲願を叶えたく思います」

「オンディーヌ嬢の?」

「ええ、この度の痛ましい出来事は警備の怠慢や学園に通う生徒への指導の甘さです。故に私は今後はもっと厳しい礼儀作法に法律に関しても厳しく取り締まるべきと…学園側もこのような事が二度とない様にと対策を望みました」

「対策ですと?」

「ええ、罪のない妹が…これまで国に尽くして来たのにこのような」


ジルフォードの言葉に同情の声が上がる。

「無礼だぞ!」


「妹君を失ってすぐのジルフォード様になんと配慮の無い事か」


オンディーヌと交流があった貴族や学者達はジルフォードを庇いながら睨む。

「王女殿下より、今回の事はうやむやにせずに学園側にも責任を負ってもらうとの事です。王都新聞にも隠すことなく記者会見を行うと…」

「なっ!馬鹿な!」

「そんなことをすればどうなるか」


声を荒げたのはオンディーヌを吊るし上げるのに関わった生徒の親達だ。


「この度の不祥事は王女殿下が責任を感じられましてね。誹謗中傷は覚悟の上だそうですよ」

「馬鹿な、たかが侍女一人ぐらいで」

「たかがとは随分な物言いですわね」


一人の貴族が失言をした。
そのタイミングで現れたのはアンジェリークだった。


「王女殿下!」

「オンディーヌ嬢は我が国の大事な歌姫であり私くしの無二の親友でもありました。そしてクレイン侯爵令嬢。彼女をたかが…と申すとは」


「これは…その」

「ダルタニアン伯爵。貴方は何時から侯爵令嬢を侮辱できる程偉くなられたのか」

「彼女は長く王女殿下に尽くしたご令嬢だ。しかも亡くなった方を侮辱するなんて」


失言した貴族だけでなく、同じ派閥の者や親しい間柄の貴族にも火の粉が飛んでいた。


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