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第一章光の少年と癒しの歌姫
31通常運転
しおりを挟むレグルスは旅をする中で多くの幻術を使う種族を見て来た。
神話でもセイレーンは歌で船乗りを惑わすと聞かされているが、海を守護する神は幻で人間を惑わす事がある。
「最初は術に惑わされそうになったが、僕を現実に戻したくれた歌声がある」
「歌だと…」
「ああ、微かにだが僕を現実に引き戻そうとしてくれた歌だ。どんな絶望でも光を照らしてくれる」
レグルスは幻覚と解っていながらも惑わされそうになったのも事実だと思う。
「人間は愚かで弱い生き物だ。だけど、他者を思いやることができる。その思いが強さになる。その強さを教えてくれたのは兄だ…この国の王となる兄は絶望に屈するか!」
レグルスは光魔法をぶつけると強い光に包まれた。
そして目を覚ますと。
「砂かけ婆」
「誰がだ!」
目の前には至近距離で見えたエリー。
間近で見ると迫力があり、思ったままを言葉にすると杖で殴られ痛みが走る。
「痛いじゃないか。水の中でも痛いぞ」
「当たり前だ!アンタ、魂を乗っ取られてなかったのかい」
「まぁギリギリ…威嚇もしておいたぞ」
「この馬鹿!何やってんだい!」
「喧嘩している場合か!急いでオンディーヌの元に行くんだろうが」
ジオルドに抑え込まれ、三人は奥へ進んでいく。
「シャボン玉の中に入ったのは初めてだ」
「二度とアンタを入れないよ。後で使用料をがっぽり貰うからね」
「どこまでもがめついな。だから醜いんだ」
「頼むから静かにしてくれ」
この非常事態でも言い争いを続ける二人に呆れながらもオンディーヌの向かった先を目指すのだった。
「神殿だ…そこか!」
「オンディーヌの歌声が聞こえるね!待っていな!」
「待て、二人共…」
シャボン玉から出て速攻で向かおうとするも。
雷が落ちる。
二人は黒焦げになってその場に倒れる。
「トラップがあるに決まっているだろう」
「早く言え…」
「なんという性悪なんだ。これも海皇か?」
通常ならば気絶していてもおかしくないのに二人はピンピンしていた。
(普通重傷なんだがな…)
エリーとレグルスの生命力に驚かされながらおトラップを避けながら三人は神殿の中に入って行った。
しかし二人は学習しないのか、真っすぐに進んで行ったがトラップ地獄の連続だったが二人のおかげでジオルドは無傷だった。
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