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第一章光の少年と癒しの歌姫
8罪の重さ
しおりを挟む三か月前のパーティーでリリーのドレスを新調せずに古いドレスを着せた事を告げた。
「聖女に自分の型崩れのドレスを着せ恥をかかせたのです!これが何故…」
「ドレスとはどのような?」
「飾り気もない白のドレスです。裾にわずに百合の刺繍をあしらった地味なものです」
百合の刺繍と聞き、アンジェリークはsもう一度確認した。
「その刺繍は銀色でしたか?」
「ええ…わずかに金の糸をあしらってありましたが…なんとも貧相で古い物です。聖女を蔑んだ…」
「そのドレスは我が国の最高の品です」
「は?」
勝ち誇ったようにオンディーヌを馬鹿にしてベラベラしゃべっていたキャルティは言葉を失う。
「宮廷貴族ではなく聖職者の最高位、女教皇様は過度な装いは禁じられていますが、初代国王の配慮により銀刺繍をあしらったドレスを着る事を許可しているのです。しかも三か月前のパーティーは初代女教皇様の命日でもありました」
「ですが…」
「若い貴族はパーティーと来れば着飾りますが、あの日は亡くなられた初代教皇様に祈りを捧げる日でもございます。聖女である彼女が過度な装いは反感を買うますわ」
「そんな…馬鹿な」
「それから補足しますが、そのドレスは露出を避けるのは聖女の貞操を意味しますが。品物だけなら一着で邸一件は建てられますわ…あのドレスは大変価値のある物です」
新しいドレスよりも古いドレスの方が質も良く価値もあるが、若い貴族の間では新調した品が流行っていたが、物の価値が解る者が見ればリリーが来ていたドレスが素晴しい物だと解るのだ。
「あのドレスは絹で作られた物ですわ」
「ですが…」
「新調した方が安いですが、オンディーヌは最高の品を着ていただきましたのよ。美しく穢れの無い純白の色と聖女としての威厳を示したのです」
アンジェリークは毅然とした態度で告げる。
「まぁ、例え意図して聖女を虐げたとしましょう…貴方は何様ですの?」
「えっ…」
「何の顕現もなく彼女を吊るし上げ、辱めを与え、侮辱し、令嬢を殺す権利はありません」
「殺す等…」
「下手すれば即死してもおかしくなかったはずです」
オンディーヌでなければ死んでいてもおかしくない身体的傷に精神的な傷。
その双方を受けた苦しみは計り知れなく、キャルティのした事は重罪だった。
「婚約破棄にしても、貴方にそのような権限はありません。自分が王にでもなったつもりですの?私を侮辱し、父を侮辱する行為は不敬罪です」
「そんなつもりは…」
「沙汰は後に告げられるでしょう。連れて行きなさい」
「待ってください…話を!」
これ以上は無意味と判断し、騎士団に命じた。
「離せぇ!」
その場から連行されるキャルティだった。
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