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第一章光の少年と癒しの歌姫
5失われた加護
しおりを挟むトランプ王国は豊かな自然にあふれ、妖精の加護により国は平和だった。
特に妖精や精霊を喜ばせるのは音楽の祝福だった。
祝福とはそれぞれ異なり、聖女の祝福は温かい光で人々を守る。
音楽の祝福は音楽を奏でるで地の精霊に癒しを与えると言われており、トランプ王国では定期的に音楽祭や演奏会を行い精霊達の宴を催していた。
精霊達に感謝を表す事により、トランプ王国は精霊達の恩恵を受けていたのだが。
トランプ王国の歌姫が消えた事により精霊達は怒りを露わにしてストライキを起こした。
東の領地では雨がまったく降らずに作物が育てなくなり、南では水害の影響が出始めたのだった。
そしてその被害をもろに受けたのはパークアイ公爵家の領地だった。
海岸沿いに位置しており水害により被害は増える一方で、その被害により財源の真珠は取れなくなり、隣接する領地も被害が酷くなった。
解決するには一刻も早く水魔法を使える者。
特に水の精霊の加護を持つ術者が必要だったが、水魔法を使える者は国に数えるほどしかない。
「由々しき事態ですわ」
底冷えする怒りが漂う中、威圧感を見せ王女が告げる。
「開国始まって以来の危機的状況です。海岸付近は水害、薬草の宝庫と呼ばれた南部は植物が育たなくなりましたわ。この状態が続けば国が沈みますわ…どう責任を取られますの?」
「責任とは…」
「国一番の水魔法の使い手を国外追放にした責任ですわ」
「私は追放には…」
「実質、公の場で吊るし上げにして集団リンチをなさったのでしょう?なんて惨い真似を…挙句に手当てもせずに森に捨てるとは…」
「誤解です!」
キャルティは弁解しようとしたが、アンジェリークは侍従を呼ぶ。
「証言情報によれば、騎士に暴行された後に床に頭を叩きつけ頭から血を流したと…貴女は既に辱めを受け、顔に傷を作られている中、雷の魔法で殺そうとしたと」
「大げさな…」
「大げさ?未婚の女性に大火傷は傷物令嬢となるでしょう。それを知らないわけではないでしょう」
「当然の報いです。聖女を虐げたのですから…」
「何処までも愚かな…」
既に話し合いなど無意味だlと思ったアンジェリークに神殿の巫女が遠慮がちに手を上げる。
「恐れながら発言をお許しいただけますでしょうか」
「貴女は…」
「リリー様のお世話をさせていただいている巫女でございます」
「そうか…君も進言してくれ」
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リリーの世話をしている巫女ならば自分の無実を証明してくれると思い込んだのだ。
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