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序章婚約破棄と追放

1冤罪による断罪

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「君には失望した!」

罵倒を浴びせられ、水をかけられる。
目の前には婚約者のキャルティが聖女を肩に抱きながら睨みつけている。

「あっ…」

「聖女様に膝をつけ罪人が!」

傍にいる騎士が拘束する。

「聖女を虐げるとはこの極悪非道な悪女が」

「何を…」

「とぼけるな!お前とは婚約破棄だ」


いわれのないよ罪を着せられ、周りの生徒ニヤニヤ笑いな嘲笑う声が聞こえる。


ふと、オンディーヌに近づく一人の少年。

「フェル…」

幼馴染であるフェルリス・ガルセア。
兄妹のように育った彼をを見て安堵したが。

「きゃあ!」

腕を捻り上げ、頭を床に叩きつける。

「フェルリス様!」

「近づいてはダメだリリー」

(何故…)

他の生徒に悪意を向けられてもただ一人、フェルリスだけは違うと信じていたのに何故と思った。


「聖女様を傷つける魔女が…出来損ないの癖に」

(出来損ない…)


ずっと兄のように慕っていた幼馴染で親友だったはずのフェルリスとは苦難を共にしていた仲で塔別な絆があると思っていた。

なのにこんな酷い事をされるなんて思わなかった。


「そのまま押さえろ」

「ハッ」


「何を…」


キャルティは鞭を取り出し、電撃が体に走る!


「ぐっ…」


強い痛みが走る。
体には電流が流れて大きな火傷を背中に負ってしまった。

「案ずるなリリー、簡単には殺さない。傷物となってその汚らわしい体と一緒に生きるがいい…既に貴族令嬢としても女としても終わりだ」

「この女にそんな価値はありませんよ」


「ああそうだったな。侯爵令嬢としか価値がない女でも物好きは抱いただろう?」

言いたい放題を言う二人だったが既にオンディーヌは悲しいと思わなかった。

「何だ?言いたいことがあれば聞いてやる」

「心の底から憐れみと軽蔑しかありませんわ」

「貴様!」

ここで弱みなんてみせられなかった。
これ以上酷い仕打ちを受けたとしても王女殿下の傍仕えをしていた身として背筋を伸ばす。

「女性に対する差別ですわ。それを行うと言うなら私はこの婚約破棄を慎んでお受けします」

痛む体に鞭を打ちながらもオンディーヌは貴族令嬢としての挨拶をする。

「ごきげんよう」

「貴様!」

胸倉を掴む幼馴染にもはや何も言う事もない。


「さようなら」

「なっ!」

その手を拒絶し冷たく睨む。


「私は貴方を軽蔑しますわ」


傷だらけの体を引きずり、罵倒を浴びせられながらもオンディーヌは微笑む。

誰であっても涙は見せない。

最後まで――。

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