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脱獄
しおりを挟むこっそりと届く手紙に笑みを浮かべる。
「流石だな」
「どうされました殿下」
エンディミオンは届いた手紙を読み笑みを浮かべる。
「俺が届けた品と花で理解した。賢い女だ」
「さようでございますか」
現在宮廷は混乱している。
先日の一件でまだごたついている。
「クリステルを態々専属の護衛にした意味。そして食器の意味もアレーシャなら解るはずだ」
「外から守るのにも限りがございます」
「兄上はこういうことは疎いからな」
レオンハルトはここまで深く考えていないがエンディミオンは王の補佐をしている所為か聡い。
「王族として生きる以上、アレーシャにも自分の身は自分でも守ってもらわないとな」
「護身術などを御教えてしても焼け石に水」
「ああ」
片手で書類を片付けながら結婚式までの日取りを見る。
「とにかく結婚式を乗り切れば後はどうにか…」
ダダダダッ!!
「大変です殿下!」
「何だ?兄上の訓練がそんなに怖かったか?」
「違います」
キリっとした表情で否定する騎士。
「なんだ?近衛騎士が慌てて」
紅茶を飲みながら今度はなんの騒ぎかと思った矢先。
「牢屋がもぬけの殻でございます!」
「「は?」」
近衛騎士の言葉に書類を床に落とす。
「いやいや!!聞き間違いか?」
「いいえ、牢屋の見張り役が倒れておりました!何者かに襲われたようで」
「牢屋には外側から厳重な鍵と結界が敷かれていたはずだろ!」
普通の鍵とは別に特殊な結界を敷いていたはずなのに何故?と思うが考えられるのは誰かがその鍵を開けたということだ。
「見張り役は薬をかがされ意識不明です」
「薬ねぇ…」
近衛騎士に聞けば見張り役は命に別状はないが、よっぽど強い薬だったのかまだ意識が目覚めていないようだ。
「あの塔に簡単に忍び込めて鍵を開けられる人間は限られている」
「ええ、立ち入ることも難しい」
「だが、貴族の中で、ピーナツ親子に手助けするような人物がいるのか?」
公の場で王族を侮辱した罪は重い。
あの場で断罪された以上、庇う貴族がいるとは思えない。
「急ぎ調べてくれ」
「かしこまりました」
「俺は急いで兄上に伝える」
刻一刻魔の手が忍び寄っていた。
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