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第四章未来への扉
34.敵として
しおりを挟む正気の沙汰ではないと思った。
けれど、既にマリアナは心を壊している。
残っているのは私への憎しみと、自分を愛さない者への復讐心だけ。
「もう、私には何もない。なら、お前だけでも道ずれにしてやるわ!そうよ…絶対に幸せになってさせない!私を愛さないなら消えればいいのよ!」
地面に亀裂が入り、足場が崩れて行く。
「お姉様!」
「オリヴィア!!」
私とマリアはジルベルト様達と引き離されてしまう。
亀裂の入った足元には炎が噴き出し、まるで私達を逃がすまいとしている。
「あははは!このまま焼け死んでしまえ…このまま醜い体になってしまえばいいのよ」
高笑いをしながら、無茶な魔法を使い続けるマリアナは気が狂ったわけではない。
意識を保ちながらも、黒い妖精の魔力を使いこなしている。
「リヴィア様」
「もはや、私達の道は完全に別れたようね」
解りあえるとは思っていない。
マリアを誘拐した時点で私は、罪人とし手しか思ってない。
「邪悪とは常に心に潜んでいる。あの女は自分から黒く染まった。既に善の心はないだろう」
「ええ、黒い妖精を浄化しても意味はないわ」
少しでも光が見いだせれば別だけど、マリアナの心に善の心は見えない。
ならば、私は巫女としてあれを始末しなくてはならない。
「お義姉上!」
「ニコル様!」
「使ってください、巫女の弓矢です」
ニコル様が投げた弓矢をキャッチする。
「まさか使う事になるとは思いませんでしたが」
「ニコル、用意周到だな」
「何事も準備が大切ですよ?兄上?」
「そっ、そうか」
何処まで先を予測している方なのか、少しだけ恐ろしく感じるけど。
今はありがたかった。
「そんなお粗末な武器で何になると言うの?お前に私が射ることができるの?いい子ちゃんぶった偽善者の塊が!」
マリアナはさらに炎を強めるもマリアが前に立つ。
「させません!」
「邪魔なのよ!」
マリアの光魔法により結界で炎を遮断された。
「リヴィア様、私が炎を抑え込みます!」
「ありがとうマリア」
「主、足場が持たない。チャンスは一度きりだ」
外すことは許されなかった私は狙いを定める。
「させるかぁぁぁ!」
黒い炎が壁となりマリアナを守る中、私は矢を放つ。
「覚悟!」
「オリヴィアぁぁぁ!!」
双方の魔力が激しくぶつかり合う中、私の放った矢がマリアナの頭に突き刺った。
爆風で私達は吹き飛ばされる中マリアナの悲鳴が木霊していた。
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