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第四章未来への扉

6.専属メイド

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二人でお茶をしている間、クララが給仕係をしてくれていたけど。
本当に侍女ととしても申し分なかった。


私がお茶のお代わりを欲しいと思ったタイミングを見計らい、カップにお茶を注ぎ、尚且つ味が飽きないように蜂蜜を入れてミルクティーにしたり、お口直しに他のお茶に変えたりしてくれている。

クローネも優秀な侍女だったが、クララの気配り上手は尊敬してしまう。

「ありがとうクララ」

「あら?お礼なんていいんですよ?私はこれから姫様の専属メイドになるんだから」

「ブーっ!!」


クララの言葉にジルベルト様がお茶を噴出した。

「汚いですわね」

「ゲホゲホっ…お前、何を!」

「私が今後はメイドとして使えることになりました。もちろん御庭番として護衛もいたしますわ」


クララが私の護衛に?


「待て待て!護衛までは良いとして何でメイド?」

「傍付きの侍女は数名いますが、お世話をするメイドも必要でしょう?王太子妃となられたら、危険が多いですし」

「それは解るが…」

「メイドの方が好都合だし。それにこの方が私に似合うし」

「結局、それが一番の理由か…」


クララが私の護衛…


「なんて素敵なのかしら」

「まぁ、姫様は本当に可愛らしい方ね。護衛は私以外にもいるから安心してくださいな」

「漢女部隊だろうが!」

「もちろんよ!私の部下なんだから」


聞けば、部下の方達は諜報員としての仕事をこなしながらも情報集の為にお針子や厨房係に化粧師等をしているとか。

彼等は公では諜報員としての顔を隠しながら、もう一つの顔を持ち。
王族を守る役目も請け負っていると聞く。


「罪人を更生させるのも私達の大事なお勤めだけど、人気者は辛いわね」

「よく言うな…差し向けたのは姉上か」

「まぁ、王女様にもお願いはされたけど、直接、命令されたのはジュリアス様よ」

「何故…兄上」


ズドーンと暗くなるジルベルト様。

どうしてそんなに落ち込むのかしら?


「ジュリアス様は本当に素敵よね?大事な役目だから、信頼できる人間に任せたいっておっしゃって。どれだけ私達を虜にすれば気が済むのかしら…ああ、私の憧れの君!」

「何所から出した!何で兄上の人形を!」

「勿論、私が作ったのよ?片時も私の王子様と一緒にいれるようにね?」

「止めろ!兄上を汚すな!」


成程。
クララはジュリアス様がお好きなのね?


「確かにジュリアス様は紳士でお優しく素敵な方ですものね」

「解ってくれさいますか!そうなのよ…ああ、天はどうしてこんな試練をお与えになるのかしら!私の身分が低くなければ叶わない恋に身を焦がすこともなかったのに」

「いや、そもそも無理だろ」



クララに突っ込みを入れるジルベルト様だけど、二人は本当に仲良しなのだと思ったのだった。


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