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第三章.高潔の条件

30.目指す道

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あれだけの騒ぎがあったのに、今ではパーティーを楽しんでいる光景に、いいのだろうかと思った。


「気にするだけ無駄だ」

「そうですか…」


この後、彼らの処遇はどうなるのだろうか。
陛下を危険な目に合わせたのだから、軽い罪で済むはずはない。


「オリヴィア、前シャリエール伯爵殿の事なら大丈夫だ」

「えっ…」

「君の憂いは、優しい祖父殿だろう?」


私の不安を見透かすようにジルベルト様は手を握りながら微笑む。


「あの方は既に引退している身だ…だが、社交界では彼の評価は高い。何より、この度の事件に彼は一切の罪はないし、責められることはない」

「では、お祖父様が責任を問われることは」

「ないよ」


ジルベルト様の言葉を聞き安堵した。
私が怪我を負った時も、お祖父様は社交界には顔を出さなくなり、田舎に引っ込んだ時期があった。


その時点で、お祖父様はあの人達と縁を切るつもりだったらしく。
生みの親とは言えど、監督責任まで問われることはないかったようだ。


「シャリエール家の領地はベアトリス嬢が引き継ぐことになるから、大丈夫だ」

「それは…」

「まぁ、あそこまで派手に問題を起こしてくれたんだ。既に彼らは爵位を剥奪して、平民になった後に領地を奪い返すことは不可能だろう…というかそんな気力も根性もないはずだ」


さりげなく言いますね。
ベアトリスも容赦なかった気がするけど、ジルベルト様も負けてないわ。


「領地代行の満にできず、守られて温室育ちだった彼等は知るだろう。ぬるま湯で生きていたこと。そして自分鯛の幸せは誰かの犠牲で成り立っていることを」

その言葉が重く感じた。

私にも言えることだから。

けれど、後悔をしているわけでもない。

今の私は望んでこうなったのだから。

ならば、私はそのまま未来を歩いて行こう。


「さぁ、行こう」

「はい」


優しく聡明なジルベルト様が後に王となった時。

私は出来る限り傍で支え、苦楽を共にしたい。


誇りを持ち続けるのは難しく、もしかしたら苦しさに心を壊してしまう時が来るかもしれない。


マリアナのように心が黒く染まってしまう事もあるかもしれないけど。


でも、私とマリアナには決定的な違いがあった。


「オリヴィア、さぁ、早くこちらに!」

「皆様、待ちくたびれてますわよ」

「お姉様!」


私は一人じゃない。
手を差し伸べ、支えてくれる人がこんなにも沢山いるのだから。


もし道に迷って、間違った道に進んでも…

きっと大丈夫。


まっすぐに進んで行ける気がした。


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