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第三章.高潔の条件
25.予想外の介入
しおりを挟むアレキサンドロス様を庇ってベンノ様が負傷してしまった。
「ベンノ!しっかりしろ!」
「王女殿下!失礼します」
「マリア!」
急いで傍に駆け寄りマリアが治癒魔法を施す。
「急所は外れていますので、不幸中の幸いです」
「そうか…すまない」
マリアの治癒魔法により傷は癒えていたが、黒い風が近づく。
「邪魔なのよ…」
「マリアナ様!」
マリアに近づき、危害を加えようとするマリアナに私は目を疑う。
「止めください!これ以上誰かを傷つけては!」
「うるさい!」
風の攻撃が私の方に向かって来る。
「オリヴィア!」
結界を強化するも、時間がかかるし、マリアと一緒でなければ一番強い結界を作れない。
「アンタさえいなければ…アンタの所為で!」
風が私に近づこうとした時だった。
「炎よ。すべてを守り覆いつくせ!」
「きゃああ!」
風と対抗するようの炎が渦巻き、私を守ってくれた。
「この魔法は…」
暖かいこの炎には覚えがある。
「随分と舐めた真似をしてくれたわね」
天井から声が聞こえたので、見上げると。
そこには炎を纏った聖虎に乗っていた。
「ベアトリス!」
「間に合ったようね。遅くなってごめんなさいお姉様」
聖虎はそのまま床に着地する。
「遅くなって申し訳ありません」
「いいえ、助かりました」
私にすり寄る聖虎が申し訳けそうにするけど、気にすることはないのに。
「何で…聖獣が!」
「下等生物が、貴様如きが見る出ない。汚らわしい、腐るわ」
「なっ!」
「だからしゃべるなと言っているのだ」
先ほどまでの緊迫した空気がぶち壊しだった。
「ウジ虫が」
「きゃあああ!」
大きな尻尾で吹き飛ばされ壁に頭がめり込んだ。
「うわぁー、痛そう」
「容赦ありませんわね。まぁ、自業自得だけど」
「もっとやってくださいませ!」
アナスタシア様が同情の視線を向けるも、マルガリーテ様はいい気味だと言いたげだった。
お姉様に至っては魔法を発動しようとしていた。
「フンっ、壁と仲良くしてなさいな。巨大なお尻が見えてお笑いですわ」
「ベアトリス…」
何時も以上に毒舌がすごいわね。
「ベス、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫ですわ。ニコル様」
「え?」
虎の背誰かが乗っていた。
その人はひょっこり姿を見せ、穏やかな笑顔を浮かべる。
「初めてお目にかかります。麗しの巫女様」
ジルベルト様に似た顔立ちで、髪の色はジュリアス様と同じだった。
「ニコル・ウィステリアです。義姉上殿」
「はい?」
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それ以前に義姉上殿ってどういうこと?
「うふふ、お姉様ったら驚いている?」
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ニコル殿下は病弱で外に出ることもできないと聞いているし、何よりどうしてベアトリスと一緒にいるのかしら?
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